イギリスのBBCが伝えたところによれば、シリアのアラウイ派国民が、アサド大統領と距離を、置き始めたということだ。それが事実であれば、アサド体制の今後は、厳しいものになろう。
シリアのアサド体制は、彼の家族がアラウイ派イスラム教徒であることから、あら、アラウイ派を重用してきた。治安関係、秘密警察、軍の幹部はほとんどが、アラウイの出身だった。確かにスンニー派の政府高官もいるが、実権を握っていなかった、と言われている。
つまり、アサド体制がこれまで持ちこたえられたのは、アラウイ派の支持があったからだ。アラウイ派の人たちはシリアのマイノリテイとして、常に不利な立場に置かれる危険性があったため、アサド体制を支持してきていたのだ。
このアサド体制とアラウイ派国民との間に、隙間風が吹き始めるということは、アサド体制に不安が生じてきている、ということだ。それは事実なのであろうか。
最近、アラウイ派が出した文書があるが、そのなかで、アラウイ派は平等、自由、市民権などを歌っているということだ。そして、将来のシリアは世俗主義でなければならないとしている。
なおアラウイ派という名称は、預言者ムハンマドの娘婿である、アリーの名から発したものだ。アラウイ派はシーア派のなかの、12イマーム派に属しており、アリーこそが預言者ムハンマドの後継者であるべきだ、という立場をとっている。
問題はこの文書の中で『アラウイ教徒はアサドの前からあり、アサドの後にも存在し続ける。』という部分だ。つまり、アラウイ教徒は今後、アサド大統領がどうなろうとも、大きな関心は払わない、ということであろうか。
しかし、それほど甘くないのではないか。アラウイ教徒の政府高官や軍の幹部が、これまでしてきた拷問ガスによる大量殺戮などは、スンニー派国民には忘れられまい。スンニー派国民によるアラウイは国民に対する、報復もありうるということだ。