トリポリへの飛行機での乗り入れは、リビアの夜明けグループなどによって、拒否されたリビア統一政府の新首相は、何とか船でトリポリ港に、乗り付けることが出来た。
しかし、これまでのところは、案外歓迎ムードが強いようで、身の危険が取りざたされていたにも関わらず、彼はトリポリ市内のモスクで、金曜礼拝に参加している。
彼と市民が抱き合う写真が、彼を支持する側のネットで、派手派手しく紹介されている。セラジ首相の仕事場は、とりあえず海軍の基地内、とされているが、早晩トリポリ郊外のリゾート・エリアに、移るものと思われる。
トリポリでのパフォーマンスとも言える、金曜礼拝でトリポリ市民の支持を得た、という印象をばら撒いた彼は、リビアの国際的に認知されている、世俗派の政府をトブルクを、訪問することになった。
これは一つの山場であろう。リビアの東のトブルクにあるリビア政府は、既に国際的に認められている、正統な政府だからだ。そしてこの政府には、アメリカのCIAが、20年間も抱え込んでいたハフタル氏が、軍の最高指揮官として、参加しているのだ。
セラジ首相がどのように話を進めるか分からないが、少しでもでしゃばった口の利き方をすれば、一遍に拒否されることになろう。何と言っても、アメリカとの長い付き合いがある、いわばアメリカの身内のハフタル氏が、この政府にはいるのだ。
セラジ首相は統一政府を結成するに当たって、彼にどのような役割を、与えるというのであろうか。国防大臣かはたまた副首相、あるいは副大統領になるのか。ハフタル氏は軽い役職では、首をたてには振るまい。
加えて、リビア東部にはほとんどのリビアの石油、460億バーレルが眠っており、正常時になれば160万バーレルの石油が、毎日生産されることになるのだ。
セラジ首相の武器は、現在凍結されている、リビアの在外資産の670億ドルと、欧米の支持、そして石油輸出に関する権限であろうか。これから結構難しい交渉が、始まるのではないかと思われる。