3月31日にチュニジアから船で入った、リビア統一政府のセラジ首相と6人の閣僚たちは、トリポリにある海軍基地の中に、臨時の事務所を開設して、活動を始めたようだ。
述べるまでも無く、トリポリにはリビアの夜明けの主導する、イスラム政府が存在するが、リビア新政府とこのトリポリ政府との関係は、これからどうなっていくのであろうか。
いままでのところ、トリポリ政府のある高官は『命が惜しければ逮捕されて投獄を覚悟するか、早急にリビアから出て行け。』と脅していたが、まだ逮捕していない。
セラジ首相は4月1日の金曜日に、トリポリ市内のモスクで、金曜礼拝に参加し、300人の支持者に歓迎されている。つまり、トリポリ政府は新政府に対して、どう対応するか、まだ決まっていないのであろう。
他方、リビアの地中海岸沿いの各都市は、セラジ首相を歓迎し、新政府を受け入れる方向に、動き出している。なかでも、リビア西部の各市はそうした動きが鮮明だ。
スブラタを始めとし、ズリテン、カルダイーン、ザワーラ、アジーラート、サルマーン、ザーウエア南部、ザーウエア西部などがそれだ。リビア統一新政府を支持する市が、既に10市に広がっている、ということだ。
リビアの石油積出港の責任者も、新政府の支持に回り、それ以外の輸出は認めない、と言い出している。ラースラヌーフ、ズエイテイーナ、ブレイカ港などがその管轄化にある。これらは皆、リビアの東部に位置しているのだ。
こうした新政府への支持が、急速に増加する理由は、戦乱が長く続き過ぎたことに加え、リビア中央銀行がうまく、機能していないことにもよろう。外国にはリビアの資金が、670億ドルも凍結されているにもかかわらず、リビア国民は銀行から金を、引き出せない状態になっており、生活苦に追い込まれているのだ。
国連や欧米諸国は、リビアに統一政府が誕生し、機能し始めれば、この凍結資金をリビア側に渡す、と圧力を掛けているのだ。国民のどの程度がそのことを知っているかは別に、リビアの主要な人々は、この事実を知っているだろう。
さてそこで問題は、リビアの西部のトリポリにある政府や、リビアの東部トブルクにある政府は、どう新政府に対応するのだろうか。いままでのところ、どちらからも具体的な反応は、出てきていない。それは国連やヨーロッパ、アメリカの対応を見てから決めたい、ということであろうか。