突然、トルコでクーデターが起こる可能性がある、と言い出した人物がいる。これはアメリカの国防省高官だった、マイケル・ロビン氏だ。彼はニューズウイーク誌で『エルドアンに対するクーデターは起こるか』という論文を発表した。
トルコではこれまで何度も、軍によるクーデターが起こってきており、クーデターが起こる可能性は、否定できない。例えば1960年、1971年、1980年とクーデターは立て続けに、起こっているのだ。
それ以外にも1997年にはイスラム政党、リファー党政府に強い圧力を加え、崩壊させているし、2003年にはエルドアン政権にも圧力をかけている。エルドアンは2003年に軍と話し合い、ギュレン運動を潰すと約束した、という情報がある。つまり、軍との間で妥協した、ということであろう。
しかし、その後、多くのトルコ軍の高官は、更迭されるか、配置換えをされるか、早期定年辞職を迫られることになった。その結果、いまではエルドアン大統領のイエス・マンだけが、軍に残っており、クーデターは起こるまい、と予測されてきていた。
今回のアメリカ元国防省高官である、マイケル・ロビン氏の論文に対し、トルコ軍幹部の将軍は、『ありえないことだ。』とクーデター発生の可能性を、否定したうえで、ギュレン系の軍人もいるが、彼らがクーデターを起こすことはありえない。こうしたニュースが流されるのは、軍人全員にとって不愉快なことだ、と語っている。
最大野党CHPは軍がクーデターを起こすことは無いし、そうした時代はすでに過ぎ去った、とコメントしている。『パラレル国家であっても、トルコ軍にクーデターを起こさせることは出来ない。』とCHP議員で元軍幹部だった人物が語っている。
トルコの民族政党MHPは、必要があれば政府は、きちんとこの問題に対し、返答すべきだとコメントしている。
政治的閉塞状態にあり、エルドアン大統領による、独裁色が強くなっているトルコでは、国民の間にはエルドアン大統領に対抗する、術が無いとして、軍によるクーデターを、待ちのびる人たちも少なくない。勿論、多くのインテリはEU加盟を考えているトルコが、クーデターなど起こすべきではない、と考えてもいる。
では何故この時期に、マイケル・ロビン氏はトルコのクーデターの可能性を、敢えて書いたのであろうか。しかも、エルドアン大統領が訪米中の時期に。そこにはしかるべき意図が、アメリカ側にはあるのではないだろうか、と思えてならない。アメリカはすでにエルドアン大統領を、見限っている。という情報もある。
オバマ大統領はエルドアン大統領が、汚職とマスコミ弾圧などの許容範囲が、限界に達したとみなしており、期待を裏切られたと考えている、とアトランテイックのサイトは分析している。そうしたなかでは待たれるのはクーデターということか、アメリカがトルコの軍人に、グリーン・ライト灯せばありうる話だ。