世界中のイスラム諸国のトップが集まるOIC、つまり、イスラム諸国会議が毎年開催されるが、今年はどんな成果が生まれたのであろうか。会場はトルコのイスタンブール市、かつてのオスマン帝国の首都であるだけに、雰囲気は十分であろう。
もちろん、主催者はエルドアン大統領であり、彼の名演説が会場に響き渡った。曰く『イスラム諸国で国際警察組織を創ろう』『イスラム諸国が協力してテロを撲滅しよう』といった調子だ。
しかし、この二つの提案にはあまり、意味がないと思われる。イスラム諸国が集まって、国際警察組織を創っても、それが機能するとは思えない。各国の思惑だけが先走りし、その本部の設置で争い、そして、資金提供者の湾岸諸国の負担が、増加するだけであろう。
テロ問題の解決についても同様に、実は国際テロ組織のスポンサーは、イスラム諸国が多いのだ。IS(ISIL)について言えば、サウジアラビアとカタール、そしてトルコがスポンサーであり、彼らは立場を変更する気はなかろう。
そうした現実があり、イランは別の立場を、採ることになるわけだが、それに対しては、スンニー派の国々がこぞって、イラン批判を行っている。サウジアラビアやカタールなどは、本音では猛反発であろう。
しかし、今回のOIC会議で幾つかの イスラム諸国の間で関係改善の、
兆しが
見られたようだ。エジプトと主催国トルコの関係改善が ささやかれ始めた。
エジプトからはシーシ大統領は、参加しなかったものの、両国関係の改善を感
じさせる。もしそうであれば嬉しい限りだ。
また、サウジアラビアとイランとの関係も改善するのではないかという期待感が出始めてもいる。しかし、このことについては、あまり期待が持てまい。それは昨日の段階で、イランが毎月定期的に、大型の軍事訓練を行うことが、
決定されたからだ。もちろん、イランの仮想敵国はサウジアラビアであり、次いでその他の湾岸アラブ諸国、ということになる。
ただ言えることは、話し合いが続いているうちは、殴り合いにはならない、ということだ。その程度の重要性を置いて、この会議の開催を歓迎するのが、順当なのかもしれない