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一時期は外国からの援助金、遺跡の遺物密売、人身売買、徴税、石油の密売などで潤っていた、IS(ISIL)の台所事情が、最近になって相当厳しくなって、きているようだ。
最近出された報告によると、IS(ISIL)の収入は30パーセント減少したということだ。昨年2015年には、8000万ドルあった収入が、最近では5600万ドルまで減少したというのだ。
その主な収入源は石油輸出によるものであり、昨年の生産量は33000バーレル・日だったものが、最近では21000バーレル・日に、減少しているということだ。
最近の主な収入源は、石油の密売、麻薬販売、電力販売、寄付といったものだ。それでも石油の占める割合は大きく、いまだに43パーセントは、石油収入となっている。
述べるまでもなく、IS(ISIL)の石油密売が減少したのは、ロシア軍機による空爆でタンクローリーが、大量に破壊されたことにある。その後、アメリカ軍機もこれに加わり、IS(ISIL)は厳しい状況に、追い込まれたのだ。
加えて、世界はトルコのIS(ISIL)との石油密取引に、厳しい目を向け始めたこともあろう。もちろん、トルコら密輸石油を買う、第三国に対しても批判の視線は、厳しくなっていることもしかりだ。
IS(ISIL)は収入を大幅に減らしただけではなく、結果として戦闘員に対する、給与未払や給与が半額に、引き下げられたことなどがあり、戦闘員の戦闘意欲が弱くなったのであろうか、最近では、支配地域が22パーセントも減っている、という報告がなされている。
IS(ISIL)としては収入源を拡大し、何とか戦闘員にまともな給与を支払い、本気で戦わせようとし、種々の収入を模索しているようだ。例えば支配地区へ出入りするトラックに対する、通過税がその一つだ。
また、支配地域から出て行く住民に対しても、出境税をかけ始めている。一定の金を支払うことにより、IS(ISIL)の支配地区から、逃れられるのであれば、無理をしても、その資金を用意するのであろう。
こうした状況を見ていると、やはりIS(ISIL)のイラク・シリア地域での役割は、終えたとみるべきではないか。そして、IS(ISIL)はリビアからアフリカ中央部へ、アフガニスタンへ、そして、ヨーロッパへと移動していくのではないか。
アメリカ政府はすでに、湾岸アラブ諸国に対して、IS(ISIL)から解放された後のイラク再建に、資金を提供しろと言い出している。