『相当追い込まれたかIS(ISIL)』

2016年4月 6日

 

 久しぶりにIS(ISIL)に関する、複数の重要情報が伝わってきた。そのほとんどはIS(ISIL)に関する、ネガテイブなものであった。IS(ISIL)が資金難に陥っているという話は、以前からあったが、無理からぬことであろう。

 シリアやイラクで盗掘した石油は、以前ほど輸出出来ていないのだ。それはアメリカとロシアの空爆で、多数のタンクローリーが破壊されたことと、国際社会が取引を、困難にしているからであろう。

 それでもトルコを経由して、いまだにIS(ISIL)の石油密輸は、続いているという報告が、なされている。トルコのエルドアン大統領の子息ビラールなどは、頭を抱えていることであろう。彼がIS(ISIL)との石油密輸の総元締めだからだ。

 シリアではIS(ISIL)は失地回復を図り、化学兵器を使い始めているが、これは自分たちの首を絞める行為であろう。西側の報道は政府の働きかけもあるのであろうが、IS(ISIL)の化学兵器使用を、大々的に報じている。

IS(ISIL)はこの化学兵器を、デルゾ-ルの空軍の空港で、使用したと報告されている。この化学兵器によって死者が出ている、という報告はまだないが、皮膚などがダメージを受ける、マスタード・ガスが使用されたということだ。なおマスタード・ガスは、ロケット弾に搭載されて、デルゾール空港に向けて、発射されたということのようだ。

イラクでも最近では、イラク軍が本格的に、IS(ISIL)掃討作戦を始めているようで、イラクのIS(ISIL)の本拠地である、モースル市への攻勢が強まっている。戦闘は極めてイラク軍側に、優位に推移している。モースル市の周辺の地域は、ほぼイラク軍の手に落ちたもようだ。

問題はイラクでのイラク軍による、IS(ISIL)への攻勢が激化した場合、IS(ISIL)のメンバーはイランかサウジアラビア、あるいはクウエイトに逃れることになろうということだ。イラン政府はイラクからIS(ISIL)が自国に流れ込んでくることを懸念し、IS(ISIL)対応では手心を加えていると言われている。

サウジアラビアではIS(ISIL)の細胞の、働きかけによるのであろうか。最近になって、IS(ISIL)のメンバーになった若者が、家族や親戚を殺害する、ということが報告されているし、治安警察を襲撃したことも、報告されている。そうしたことを考えると、次に危険になるのはイランやクウエイトよりも、サウジアラビアかも知れない。

そうなれば、サウジアラビアからの石油輸出は、危険な状況に陥る、ということであろう。そうしたことを、いまの段階から頭に入れておく、必要があるのではないか。