フランスのヴィンチ社に次いで、世界で二番目に大きな、サウジアラビアのビンラーデン社が、従業員の25パーセント・カットを決めた。述べるまでも無く、この会社はアフガニスタンでムジャーヒデーンを組織し、次いでアルカーイダを結成した、ウサーマ・ビンラーデンの父親シェイク・ムハンマド・ビンラーデンがイエメンからサウジアラビアに移住してきて、1931年に立ち上げた会社だ。
シェイク・ムハンマド・ビンラーデンはサウジアラビア王室との、特別な関係を構築することに成功し、サウジアラビア政府が進める、大規模工事のほとんどを、請け負うことが出来てきたために、巨大な企業に成長したのだ。
しかし、そのことは、同社がサウジアラビアの景気を、まともに受けるということでもあった。現在、サウジアラビア政府は石油価格の低迷による、大幅な減収に見舞われ、加えてイエメンとの戦争、そしてシリア問題への関与などで、莫大な額の資金の投入と、膨大な量の兵器の購入も進めており、財政状態は逼迫している。(サウジアラビアの国家収入は、90パーセント以上が石油収入に、依存している。)
そのことは、政府の事業を進めている、企業に対する未払いや、支払いの遅延が起こっている、ということであろう。結果的に、ビンラーデン社は従業員に対して、過去4ヶ月給与を支払っていないということだ。そして、そのことに抗議する従業員が、サウジアラビアのジェッダにある、同社の本社ビルにデモをかけている。
結果として、ビンラーデン社は20万人いる従業員のうち、25パーセントつまり5万人を解雇することを、決定したということだ。このような形の解雇では、退職金の支払いも滞るかもしれない。カタールのアルジャズイーラ社の場合は、解雇者に対し2か月分の給料と同額を、退職金として出していた。
ビンラーデン社は最近、運気を落としているのかも知れない。聖地メッカの拡張工事現場で、大型クレーンが倒れ、100人以上の巡礼者が犠牲になる、という事故が昨年の9月に、起こっているのだ。
日本でも軒並みに、大手企業が経営難に陥っているが、それは世界の趨勢なのかもしれない。