『リビアの統一政府実現の話は大分先だろう』

2016年3月29日

 

 国連が後押しして[国連が主導して]、リビアに統一政府を創設する、という話が動いている。既に、この統一政府の代表が決められており、彼は現在、リビアの隣国、チュニジアに居住している。

 この人物の名はファーイズ・セラジュだが、彼にどれだけの力量が、あるのだろうか。あまり詳しくわからないが、多分、統一政府を主導していくのは、簡単ではあるまい。

 リビア国民の多くは、いまの状況について否定な考えを持っている。『二つの政府でまとまらないのに、これにまた一つ新しい政府が加わって、リビアは三つの政府を持つのか?』といった具合だ。

 確かに、現在ある二つの政府は、西のトリポリのファジュル・ル・リビア(リビアの夜明け)と呼ばれる、イスラム原理主義の支持を得ているものと、東のトブルクにある、国際的に認められている、と言われている世俗政府だ。

 東西のリビア政府は、それぞれに、軍隊あるいはミリシアを抱えているが、ファーイズ・セラジュの政府はいまのところ、軍隊を全く持っていない。これでは戦乱の地、リビアでの統治は不可能なのではないか、ということだ。

 ファーイズ・セラジュがチュニジアから、リビアのトリポリに入ることになったとき、幾つものジョークが、リビア人の間で語られた。曰く『ファーイズ・セラジュは国連が作ったパラシュートで、トリポリに降りるそうだ。』『ファーイズ・セラジュはヘリコプターで、トリポリ入りするそうだ。』『ファーイズ・セラジュは船で、トリポリ入りするそうだ。』そして最後のジョークは『ファーイズ・セラジュは国際軍に守られて、船でトリポリ入りをするそうだ。』だ。

 ファーイズ・セラジュがパラシュートで、トリポリ入りするわけがないし、船でもありえまい。つまりは、飛行機でトリポリの空港に降りたいだろうが、二つの政府は彼の着陸を、認めていない。

 国連や欧米諸国は、力でファーイズ・セラジュのトリポリ入りを、実現させようというのであろうか。外国の強力な関与がリビアをずたずたに切り裂き、石油で豊かだった国も、いまでは乞食の多数いる、国に変わってしまった。

しかし、この新首相の政府は、トリポリ郊外にある、豪華なリゾート地パーム・シテイに、設置される予定であり、ファーイズ・セラジュはここに、ヘリコプターで、降り立つということらしい。

 最近ではこうしたことから、王政復古を望むリビア国民が、増えてきているということだ。それは国連と欧米の、最終ゴールなのであろうか。