トルコ政府は大統領と首相が、共に強引な政策を、クルド人やクルドのPKK組織に対して、展開しているようだ。それが実力を反映しているのか、あるいは政府側の不安が、引き起こしているのかについては、判断できない。
ただ言えることは、エルドアン大統領が相当神経質に、なっているのであろうということだ。したがって、妥協の余地はなくなり、力による政策だけが、展開しているのではないか。
トルコの南東部については、軍の強引な武力による、抑え込みが成功した、と政府は発表した。トルコ南東部のデヤルバクルで、続けられていた作戦は、PKKを掃討できたとして、作戦の完了を宣言した。しかし、実際にはPKK側が、自主的に不利だという判断を下し、撤退したのではないのか。
加えて、北イラクでもトルコ政府は、PKKの掃討作戦を行ったとしている。そのことが北イラクのクルド自治政府との、合意によるものだったのか否かには、疑問があるが、イラク政府のアバデイ首相は、イラク国内でのトルコ軍の軍事行動に、激怒し撤退するよう要求している。
トルイコ軍はトルコ南東部での軍事作戦で、1200人のクルドのミリタントを殺害したと発表している。勿論、民間人も相当巻き込まれ、死亡しているものと思われる、それがトルコの学者たちによる、戦争反対の署名運動を、呼び起こしたのであろう。
トルコ政府はこれだけでは、気が済まないようで、 トルコ政府とPKKとの仲介ができる立場にある、クルドのHDPの幹部を国会議員という立場から、追放しようと考えている。そのことは、ダウトール首相の口を通じて明かされたのだが、勿論その後ろには、エルドアン大統領がいるということだ。
特にデミルタシュ党首や、ユクセクダウ氏、イルマク氏、クルクジュ氏などについては、名前を挙げて非難している。このことについて、デミルタシュ党首は『エルドアン大統領が特に私を毛嫌いしている。』と語っている。
トルコ政府はHDPという、クルドの政党の幹部たちを追放した後は、どのような交渉のルートを、PKKとの間で構築していこう、というのであろうか。あるいは、今後はPKKとは全く交渉をしない、ということであろうか。そうであればトルコとPKKとの緊張関係は高まり、クルド人の一般市民の抵抗も、拡大して行こう。そうなれば今後トルコの状況は、危険度を増していくのではないか、と懸念される。