2013年のクーデターで大統領に就任した、シーシ氏は官僚の汚職体質と、仕事上の手抜きに、相当腹を立てているのであろうか。今回の日本訪問に際しても、外務省幹部の協力は、あまり得られていなかったようだ。
元在日大使を務めた人たちや、日本語に精通した優秀な外交官、つまり、日本通の外交官たちは、そっぽを向いていたといわれている。そうしたことがある反面、シーシ大統領の日本訪問は、彼に大きな自信を、与えたのかもしれない。
彼は近く内閣の大改造を、断行するという情報が、流れてきているのだ。その際には、多くの閣僚ポストが軍人によって、埋められるのではないか、という情報もある。
そうなれば、エジプトは久々に軍人内閣が、登場するということになろう。ただ、この軍人を中心とした内閣は、汚職には程遠いものとなることは、確実であろうが、エジプトの慣習である、バクシーシ(心づけ)が通用しなくなれば、果たしてどれだけ政府の仕事が、スムーズに進むかという、疑問は湧いてくる。
たとえ、軍人がすべての閣僚ポストを埋めたとしても、その下で働く官僚たちや、一般職の公務員たちが、言うことを聞かないのでは、政府の業務は停滞してしまおう。
また、以前にも書いたように、軍人には行政の経験が、ほとんど無いことから、そのことによる政府の業務の、遅滞も発生しよう。それを承知で、シーシ大統領が長期的なエジプト国家の、大改造をしようというのであれば、今後の動きを注目するしかない。
長い年月をかけて出来上がった慣習、その結果、社会に染みついた汚職や悪習は、長い年月をかけなければ、抜ききれないのかもしれない。いま、まさにエジプトでは、我慢比べが始まろうとしている、ということだ。