サウジアラビアが隣国イエメンに、戦争を仕掛けてからすでに、1年以上が経過している。サウジアラビアはこの戦争に連合軍を結成し、イエメンを一気に攻め落とす予定だった。
その連合軍には、エジプトやパキスタンといった、イスラム諸国のなかの軍事大国も参加する予定だった。しかし、このバカげた戦争に、両国は参加する意思はなかった。
エジプトは海軍艦艇2隻を、紅海のイエメン沖に浮かべ、サウジアラビアの首都リヤドの作戦本部に、将軍をアドバイザーとして送っただけだった。
また、パキスタンは議会が海外派兵を認めない決議を出したとして、サウジアラビアの要請を断っている。このパキスタン政府の決定の前には、サウジアラビアの国防大臣がパキスタンを訪問する、予定になっていたのだ。
結果的に、サウジアラビアはバハレーンやアラブ首長国連邦など、どう見ても戦闘向きではない国の軍人を、無理やり引きずり込む形になった。これまでの両国の将兵が、犠牲になっていることは、述べるまでもない。
何故こうしてまでも、サウジアラビアはイエメン戦争をする必要が、あったのであろうか。それはサウジアラビアやクウエイト、カタール、アラブ首長国連、オマーンの石油を、イエメンのハダラマウトまでパイプ・ラインで運び出し、アデン港から輸出する計画を、建てていたからだ。
この計画には、オランダのダッチ・シェル社も絡んでいる。このパイプ・ラインが完成すれば、ペルシャ湾の出口である、ホルムス海峡が閉鎖されても、問題なく石油を輸出することができる、という考えに則ったものだ。
この計画には、前イエメン大統領のアリー・サーレハ氏が反対していた。そのために、サウジアラビアはハーデイという、傀儡大統領を立てたということだ。
そしてこの計画は、イランを戦略的に不利にすることから、イエメンのシーア派のホウシ・グループを、イランは支援する形になり、いつの間にか、サウジ・イエメン戦争はサウジ・イラン戦争に、形を変えているのだ。
何のことはない、中東で起こる戦争は、少し調べてみると、皆石油が絡んでいるということだし、その裏には欧米が常にいる形になっているのだ。