エルドアン大統領が命令し、トルコ警察はトルコの主要マスコミ社に侵入した。催涙弾が打ち込まれ、まさに戦場の様相を呈したようだ。このザマン新聞社は新聞だけではなく、サマニヨル・テレビ、トデイ・ザマン紙など手広く経営している、まさにトルコを代表するクオリテイ・マスコミなのだが、何故エルドアン大統領は警察を侵攻させる、という暴挙に出たのであろうか。
実はこのザマン・グループは、現在アメリカの亡命(病気治療という名目)中のギュレン氏を代表する、反政府のヘズメトの関連組織なのだ。厳しいエルドアン体制批判を続けていたために、エルドアン大統領は遂に我慢の緒が切れた、ということであろう。
しかし、さすがに今回の暴挙については、ヨーロッパ全体が厳しい非難を寄せているし、アメリカ政府も憂慮している。ヨーロッパではエルドアン大統領を、ナポレオンと揶揄してもいる。まさに現代の独裁者ということであろうか。
こうしたエルドアン大統領の暴挙は、当然のことながら、周辺諸国とも関係を悪化させ、一時期のような善隣友好関係は、立ち消えになっている。イラクもシリアも、エジプトとの関係も最悪であり、ロシアやヨーロッパ、アメリカとの関係も、極度に悪化している。
そのことは、トルコの経済に直接的なダメージを、与えているために、ダウトール首相はイランを訪問し、経済関係の改善を、交渉することになった。しかし、一時期とは異なり、イランの経済制裁は解除され、欧米に開かれために、今ではトルコをあまり重視していない。ダウトール首相の訪問からは、さしたる成果は得られまい。
ますますイメージを悪くしてしまっている、エルドアン大統領は今後、どうして行くつもりなのであろうか。彼が首相に就任した最初の10年は、経済躍進の時代だったが、それは今では嘘のようだ