ケリー長官はブリュセッセルで、ミシェール首相と会談した際に、IS(ISIL)は中東を諦めた、という趣旨の発言をした。IS(ISIL)が欧州諸国に台頭してきているのはそのためであり、中東では状況が悪化し、優位に立てなくなってきているからだ、ということのようだ。
ケリー長官はパリ、アンカラ、チュニジア、アメリカのカリフォルニアのサンベルナルデノなどの、IS(SIL)によるテロを経験に、今後、全面的にIS(ISIL)によるテロを、撲滅していくとも語っている。
ケリー長官はIS(ISIL)が描いていた、イスラムカリフ国家はファンタジーに終わろうとしている。そして、まさに崩壊の危機に直面していると語り、IS(ISIL)の支配地域は縮小しており、指導者たちの多数が殺されてもいる。IS(ISIL)の収入は激減し、戦闘員たちも逃げ出しているとも語った。
こうしたなかで、最も有効な対応は人間性であり、形だと語り、アメリカ国民が2人犠牲になったことも伝えた。
そのとおりであろうが、ケリ-長官はIS(ISIL)が欧州にだけ、向かっているのではないことを見逃している。実はIS(ISIL)はシリアやイラクでの不利な状況のなかで、リビアを新たな首都にしようと語っているのだ。
そのため、多くの戦闘員と幹部家族がリビアのシルテニ移動している。リビアでのIS(ISIL)の戦闘状況は、決して優位では無いが、リビアに拠点を置いたことで、チュニジアやモロッコがIS(ISIL)の脅威を一層、受けるようになってきている。
また、リビア国内では地中海沿岸のシルテだけではなく、IS(ISIL)はリビア南部の国々にも進出しつつあるのだ。チャド、ニジェール、マリなどがその国々だ。IS(ISIL)がアフリカの中央部を、目指していることは、ほぼ間違いあるまい。
アメリカは口には出していないが、北アフリカの国々の安全と、アフリカからの難民の、リビアを経由する欧州への流れを、阻止するという名目で、リビアに対する軍事攻撃を、イギリスやフランスと行う日が、近いのではないかと思われる。
リビアやアフリカでのSI(ISIL)による殺戮は、簡単な報道で済まされるのだろう。命の値段は人種によって異なるのだろう。欧米人の目からすれば。