イラクやシリアで、急速に拡大したIS(ISIL)は、その後、シリア・イラクでの状況が悪化したために、拠点をリビアとアフガニスタンに、移動するだろうと、以前から予測して来た。
現実はまさにそのとおりであり、IS(ISIL)はリビアのシルテを、新しいイスラム国の首都にする、と言い出していた。しかし、その後、激しい戦闘を何度展開しても、リビア人はIS(ISIL)の残虐な攻撃に、ひるむことがないのであろう。
IS(ISIL)のリビアにおける戦闘は、大きな成果を上げていないし、リビアの石油を支配してもいない。そして遂に、IS(ISIL)はリビアのシルテではなく、チュニジアに拠点を移し、首都を設置するという考えを、口にし始めている。チュニジアなら小国だから、支配しやすいと考えたのであろうか。
このところ、チュニジア軍とIS(ISIL)が、リビアとチュニジアの国境地点で、何度と無く戦闘が繰り返され、双方に多数の犠牲者が出ている。これらの戦闘の様子を見ていると、IS(ISIL)が小国と侮っていたチュニジアが、意外に善戦しているということが、目立っている。
この場合、リビアとチュニジアの国境地帯で、戦闘を展開しているのは、チュニジア軍であり、(ISIL)なのだが、IS(ISIL)のほとんどの戦闘員が、チュニジア出身者なのだ。
双方が国境地帯の地理を、良く知った上で、戦闘を展開しているし、相手の動きを、予測しやすいのであろう。そうなると、本格的に武装しているチュニジア軍のほうが、戦闘において有利になる、ということであろうか。
リビアでは最初のうちは、アメリカ軍のIS(ISIL)に対する空爆は、国籍不明機と報じられていたが、最近になって、それがアメリカ軍機であることが、明かされるようになっている。
加えて、フランス軍やイギリス軍、そしてイタリア軍も、リビア国内で既に、戦闘体制を整えているようだ。つまり、何時でも戦闘を始められる、状態になっているということだ。
これでは、IS(ISIL)は落ち着いて、リビアでの戦闘を、継続することは出来まい。シリアやイラクでの、ロシア軍の空爆と、その後のアメリカ軍による、本格的な空爆が、IS(ISI)の両国での、戦闘を不利にしたが、リビアでも早晩、不利な展開になる、ということであろう。
既に、チュニジアにはイギリス軍が、軍事指導などで入っており、ここもIS(ISIL)にとっては、居心地のいい場所ではなくなろう。その次にIS(ISIL)何処へ行くのだろうか。アラビア半島も考えておいた方がいいだろう。