『トルコの首都アンカラで大爆発』

2016年2月18日

 

トルコの首都アンカラ市で、昨夜6時半ごろに、車に積んだ大量の爆弾が爆発し、周囲にいた軍人や一般人28人が犠牲になり、61人が負傷した。これはアンカラ市の軍本部、首相府、議会などがある地域で起こった、テロ事件であり、相当綿密な計画が立てられて、実行されたものと思われている。

現在までの段階では、トルコ政府側は犯人の特定ができていないし、どの組織からも犯行声明が出ていない。そのため、犯人が誰なのか全くわからない状態にある。

犯行に及んだと思われる組織としては、PKK(クルド労働党)が挙げられるし、ISISIL)の可能性も否定できないということだ。

犯行現場から推測されることは、テロは軍を狙ったものであり、一般人に犠牲者が出たのは、偶発的な不幸であった、ということであろう。

このテロ事件が起こったことで、ダウトール首相はブリュッセル行きを、キャンセルし、エルドアン大統領もアゼルバイジャン行きを、キャンセルした。ダウトール首相のブリュッセル入りは、多分シリア難民問題を、EUとの間で話し合うことが、目的であったろうと思われる。

EU側がトルコに対して、30億ユーロの難民対策費を、援助することが決まっているが、いまだに振り込まれていない。エルドアン大統領のアゼルバイジャン訪問は、ガスの輸入問題ではないかと思われる。トルコはロシアとの関係が悪化して以来、ロシアのガスを輸入できなくなっているからだ。

トルコの野党各党は、こうした事態が起こったのは、政府のクルド対応に問題があるからだとして、厳しく政府を非難している。トルコの最大野党CHPの党首は「シリアに武器を送るな、シリアの国内問題に口をはさむな」と語っているが、その通りであろう。

現在のような、トルコ政府のクルド人に対する弾圧が、トルコ国内でもシリアでも続けば、本来は協力的な関係に無いとしても、クルド各組織とPKKとの協力関係が拡大していく、危険性が高まろう。

今回のアンカラでのテロ事件が、単発で済めばまだいいが、もし連続してトルコの各地で、起こるようなことになれば、トルコ政府は対応のしようが無くなり、戒厳令を敷くということになるかもしれない。トルコの国内状況は、そこまで悪化しているのだ。