トルコ軍とサウジアラビア軍が、シリアに陸上部隊を送り込んで、戦闘を展開する動きが、現実味を帯びてきている。このことに関しては、ロシアだけではなく、各方面から第3次世界大戦の発端になる、という警告が出ている。
それだけ、トルコやサウジアラビアが、シリアに陸上戦闘部隊を送るということが、危険なのであろう。あるいは、トルコ軍やサウジアラビア軍に限らず、これ以上シリア問題に手を出すことが、危険なのかもしれない。
トルコやサウジアラビアが、陸軍をシリア領土内に送るとなれば、当然空からの支援が、必要ということになろう。陸軍による攻撃が先なのか、空軍による攻撃が先なのかによっても、状況には大きな影響が出よう。
空軍が先に動くとなれば、その後の陸軍の進出を考慮し、猛空爆が行われることが予測できようし、逆に陸軍が先に進出するとなれば、時を同じくして軍の空爆が始まることになろう。
陸軍であれ空軍であれ、シリアに対する攻撃が始まれば、トルコもサウジアラビアも、手心は加えないのではないか。結果は大量の死傷者とインフラの破壊が起こるということであり、同時に多数の難民が、出るということであろう。
トルコはこの場合、シリアからの難民を、素直に受け入れることが、出来るのだろうか。一方では、敵として戦っているシリア人を、難民だからということで、受け入れられるのだろうか。
国際的な監視の目があり、トルコ政府は人道的な立場から、シリアからの難民を受け入れることになろうが、それには制限を加えるのではないか。最近完成したシリア領土内の難民キャンプは、その後も拡大していき、トルコとサウジアラビアの軍が、シリアに攻撃を加え始める段階では、もっと難民キャンプは大規模なものに、なっていよう。
問題は、難民キャンプとはただテントを張り、そこに寝起きできれば、いいというわけにはいかない。難民キャンプに収容した人たちに対する、あらゆるサービスが求められるのだ、食料はもとより、医療、教育なども必要なのだ。それに回す金は、サウジアラビアが出すのだろうか。
多分、トルコやサウジアラビアがシリアに、地上軍を送る段階では、難民に対するケアは、忘れられているのではないか。そうなれば、凄惨な状況がシリア国内で、発生するということであろう。
トルコとサウジアラビアには、陸軍を送った後のシナリオが、出来ていないのではないか。アサド体制を打倒したいということだけが、頭の中で拡大しているのではないか。そうであるとすれば、事態はますます、危険なものになろう。