『シリア・アサド大統領全土を奪還すると語る』

2016年2月13日

 

              

 

 去る金曜日(212日)、シリアのアサド大統領が、AFPとのインタビューに答えるなかで、彼は今後のシリア問題への対応を、明らかにしている。その彼の発言によれば、アサド大統領はISISIL を始めとするテロリストから、シリア全土を解放するつもりだ、ということのようだ。

 アサド大統領の説明によれば、何事もなければ問題の解決には、しかるべき時間が必要だということだが、もし、テロリストへのサプライ・ラインをカットすることができれば、1年以内に問題を解決することが、出来るということだ。

 そのテロリスト(ISIL)へのサプライ・ラインとは、トルコやヨルダン、イラクからの支援物資と戦闘員だ。これらの国々から武器弾薬や医療品、資金戦闘員が送られてくるのでは、IS(ISIL)を押さえ込むことは、困難だということだ。

 アサド大統領は困難はあるものの、シリア領土を敵側に妥協するつもりは、全く無いということだ。彼はシリアの内戦は、外国がスポンサーになって、始められたものだった。

シリア政府は2011年の内戦開始当初から、話し合いによる問題の解決を考えてきたが、反政府側は平和的な話し合いによる、問題の解決を受け入れなかった。結果的には47万人のシリア国民が犠牲になった。

 現在では、対話だけでは問題を解決することは出来ず、戦闘と対話が同時に行われなければならない、とアサド大統領は考えている。

 反政府側はロシアの空爆が止まらない限り、和平交渉には参加しない、と言っているが、それは受け入れられない。我々は当面、トルコからアレッポへのサプライ・ラインを、カットしなければならない。このサプライ・ラインが非常に重要なのだ。

 アサド大統領の語るところによれば、アレッポの周辺地域は、シリア軍がほぼ制圧しているということだ。

 アサド大統領がこの時期に、シリア全土の解放を語ったのは、225日にジュネーブで開催予定の、シリア和平会議に向けたものであろう。会議に先立って、シリア政府は強い立場を示しておき、そこから交渉を始める、ということであろう。

 そして、そのような強気の発言が出てきた、もう一つの理由は、ロシア軍の協力でシリア軍が、各地で優位な戦闘を展開し、何箇所もの重要拠点を、解放できていることによろう。

 アメリカやNATOは、このロシア軍の効果的な空爆に対して、これといった対応策が無く、ロシア軍の完璧な空爆で、アメリカ軍はこれまでの、手抜き攻撃がばれてしまい、ロシアに同調して空爆を本格化させざるを得なくなってきている。現状ではアサド外しが話題になるが、実際には難しいということか。そうであるとすれば、何らかのアサド側との妥協策が出て来よう。