アラブ世界研究開発機構[AWRAD]が、最近、ヨルダン川西岸地区とガザ地区で、パレスチナ住民に対して行った、世論調査の結果は注目に値する。そこにはパレスチナ人の本音が垣間見られるからだ。
パレスチナ自治政府のマハムード・アッバース議長(大統領)の人気は、低迷の一途をたどっている、というニュースが最近は、特に多く伝わってくるのだが、実態はどうなのであろうか。
次回の選挙で、マハムード・アッバース氏に投票する、と答えたのは36パーセント、ハマースのイスマイル・ハニヤ氏に対して投票する、と答えた者は22パーセントだった。そして、56パーセントのパレスチナ人が、パレスチナ自治政府には、副議長(副大統領)職を設けるべきだ、と考えていることが分かった。
この結果は、マハムード・アッバース議長もイスマイル・ハニヤ氏も、パレスチナ人から十分な支持を得ていない、ということを表している。つまり、パレスチナ人たちは、新しい政治の流れが、起こることを期待しているということだ。
マハムード・アッバース議長の活動については、31パーセントが評価し、35パーセントは不満だと答えている。イスマイル・ハニヤ氏の活動については、32パーセントが評価しない、と答えていたものが、最近では38パーセントが、評価をしない側に回っている。
今回の世論調査で、意外な結果が出ている。それは、ガザ地区でのマハムード・アッバース議長に対する評価が、イスマイル・ハニヤ氏に対する評価よりも、高いということだ。
マハムード・アッバース議長の所属する、ファタハに対する評価では、ガザ地区での支持が、46パーセントなのに、ヨルダン川西岸地区では、34パーセントと低い。これは、ガザ地区の人たちにしてみれば、マハムード・アッバース議長(大統領)には、パレスチナ自治政府の予算を配分することが、出来るということから、彼がガザ地区に直接かかわれば、ガザ地区の状態は改善される、ということではないのか。
他方、マハムード・アッバース議長(大統領)が居住する、ヨルダン川西岸の住民には、彼の汚職と権力乱用が、目につくのであろう。遠くの花は美しいということか?