リビアには現在、3000人ほどのIS(ISIL)の戦闘員が、いるといわれている。IS(ISIL)はイラクやシリアから戦闘員を、船で大量にリビアに移動させており、幹部も3~4人が乗り込んだ、といわれている。
また、IS(ISIL)にはシリアのラッカ市を、首都として守り続けることが、ロシアによる空爆などで、困難になってきているため、リビアのシルテに移す、という考えもあるようだ。
そのことは、今後、IS(ISIL)がリビアの石油を狙って、本格的に戦闘を展開し始める、可能性が高いということだ。だが、リビアでは相変わらず、リビア人同士の戦闘が続いており、IS(ISIL)に対抗すべき、状態にはなっていない。
リビアを始めとした、IS(ISIL)などイスラムテロ組織に対抗する、国際会議がイタリアで開催され、23か国が会議に参加した。この会議ではイラク、シリアそして、リビアのIS(ISIL)対応が討議された。
他方、欧米は何とかリビアの主要な、二つの対立する政府を統一させ、新たな政府を結成するよう、働きかけてきている。その二つの政府とは、トリポリを首都とするイスラム系政府と、トブルクに拠点を置く、世俗派政府だ。
この二つの政府間の、統一政府結成への話し合いは、欧米の仲介で、一応の前進が見られるが、まだ最終段階には、至っていないようだ。双方の国会議員の間に、不満が残っており、統一政府結成に簡単には、賛成しないからだ。
しかし、統一政府が結成されないのでは、外国のリビアへの軍事介入が、困難なのも事実だ。統一政府が誕生し、その政府が欧米諸国に軍の派遣を要請すれば、欧米諸国は対応が楽であろう。
現段階では、イギリス政府は時期尚早だとして、軍事介入の必要は無いという立場だが、情報提供、戦略協力はするつもりだ、と外相が語っている。つまり、必要が明確になれば、参戦するということであろう。
フランス政府はイギリス政府よりも、一歩踏み込んだ立場を示している。フランスのルモンド紙は、既にIS対応作戦が、出来上がっている旨の報道をしている。しかし、この場合もやはり、リビアに統一政府ができることが、先決だともしている。
アメリカはどうであろうか。アメリカのケリー国務長官は、リビアは統一政府ができる、途上にあるとし、それを歓迎しているが、同時にIS(ISIL)がリビアの石油を、狙っていると警告してもいる。
つまり、IS(ISIL)のリビアでの戦闘が、激化するようになれば、アメリカはそれを放置せず、軍事介入を行う意思がある、ということであろう。