『エルドアン怒り爆発・2つの提案』

2016年2月12日

 

 シリアの難民にとって、最も暖かく迎え入れてくれる国は、世界のなかでトルコだ。トルコには250万人を超えるシリア難民と、何十万人ものイラク難民が生活している。

 そのうちの一部は、既にトルコのなかで仕事を持っているか、自営業を始めているのだ。勿論ほとんどは難民として、難民キャンプのなかで生活している。それ以外には、路上生活している人たちもいる、彼らは通りがかりの人たちの、情けを当てにして、生きているのだ。

 しかし、シリア難民がヨーロッパ諸国に入ると、そうはいかないようだ。最初に遭遇するのは、厳しい差別の視線であり、仕事の機会はほとんど無かろう。そして、何事もルールで成り立っているヨーロッパでは、難民手続きができなければ、何事も前に進められない。

 結果的に、それに我慢ができなくなった、多くのイラク難民が、自国に帰るということが起こったのだ。その数は確か千人を超えていたと記憶する。それだけ人情に薄いのが、ヨーロッパ社会なのであろう。

 トルコは多くの難民を、シリアやイラクから受け入れているが、それに費やした資金は、既に90億ドルを上回っている、とエルドアン大統領は語り、トルコが難民を受け入れることは、既に限界に達していると語った。

 エルドアン大統領が以前、ヨーロッパに対して、シリア難民のヨーロッパへの流入を阻止する代わりに、資金援助をしろと訴え、ヨーロッパ側は30億ユーロ出すと約束したのだが、いまだに1ユーロも、トルコには送られていない。

 遂にエルドアン大統領は、トルコは難民のヨーロッパへの流れを、止めないと語り、ギリシャやブルガリアから、シリア難民が大挙して流れ込もうと警告した。既にドイツには110万人のシリア難民が入っており、そのことがメルケル政権を窮地に追いやっている。新たなシリアからの難民が、10万人100万人単位で入ってくるようになれば、もう対応の仕様はあるまい。

 今後予測されることは、トルコが実際にシリア難民の、ヨーロッパへの流れを止めなくなることだ。そしてその結果、多くの難民がヨーロッパ各国に、散らばるということだ。

 そうなれば、難民対応が遅れている国では、難民は生活するために、犯罪に手を染めることが、頻発するようになるだろうし、それは暴力を伴うものになろう。なぜならば、ヨーロッパ人の側でもそうした、最悪の事態を予測しており、自警団のような組織が、幾つでも成立して来るであろうからだ。

 エルドアン大統領の警告は、単なる警告ではない、明日の現実の話なのだ。