『中東で激変が始まっている?』

2016年1月21日

 

いま中東で起こっている、問題の主要なものは『サウジアラビア・イラン関係』『トルコ・エジプト関係』『シリア問題』『リビアの内乱』であろうか。一見なんの変化もなく、悪い状態が続いているように見える、これらの問題に、かすかな前進が見えるような、気がしてならない。

そこでラフではあるが個別に検討してみよう。

:『サウジアラビアとイラン関係』

 イランのハメネイ師が、テヘランのサウジアラビア大使館を襲撃したのは、間違いだったと明言した。その事は、今後のイランとサウジアラビアとの、関係が改善していくことの、サインではないか。

 一部のブログでは、イランとサウジアラビアとの関係が、緊張したのは、両国による合意の上での、画策であり、石油価格を上げるためのものだった、という説が流れている。この説にはあまり賛成する気はない。

今回の両国の緊張に、解決の糸口を見せたのは、イランだった。イラン側が最初に関係改善を、間接的に呼び掛けたのだ。そうであるとすれば、イラン側にその必要があるか、あるいは余裕が出てきたからであろう。

:『トルコとエジプト関係』

 トルコとエジプトの関係は、相当悪かったのだが、ここに来て、突然トルコ側から関係修復の、シグナルが送られた。エジプト政府がムスリム同胞団の死刑犯の、処刑を行わないことを条件に、シーシ政権を正式に認める、というものだ。

 このことは大筋合意されているようであり、近い将来関係正常化が始まろう。述べるまでもなく両国の経済状態は極めて悪い。

『シリア問題』

 シリアの内乱を収束させるための、ジュネーブ会議が予定されている。反政府側のSNC(シリア国民会議)は、クルドの代表が参加するのであれば、欠席すると息巻いているようだが、SNCはトルコの丸抱えであり、トルコ政府の意向次第であろう。会議はアメリカやヨーロッパが、力を入れているのだから、トルコが強硬に開催に反対することはあるまい。

『リビアの内乱』

 国連の仲介工作が成果を見、リビアは統一政府が誕生する方向に、向かい始めている。どうやら首相には、ファーイズ氏が就任するようだ。これはISの進出を警戒し、国益を守ることに、リビア各派が意識し始めたからであろうし、欧米もそろそろ手打ちの時期、と考えたからではないのか。