『サウジがトルコ・エジプト関係を仲介』

2016年1月20日

 

 トルコとエジプトの関係は、シーシ国防大臣がクーデターを起こして、ムスリム同胞団のモルシー大統領を追放して以来、最悪な状態となっている。それは、エルドアン大統領がイスラム的な政党である、AKPのメンバーであり、エジプトのムスリム同胞団と、良好な関係にあるからだ。

 モルシー大統領の時代は、トルコの与党AKPとエジプト政府との関係は、兄弟的な関係、と表現できるほど良好だった。

 しかし、シーシ国防大臣がクーデターを起こし、エジプトの大統領に就任して以来、両国の関係は最悪となっている。エルドアン大統領はシーシ大統領を、いまだに正式な大統領と、みなしていないし、事ある毎に、ジプトを非難している。

 そうした中東の大国である、トルコとエジプトがいがみ合うことは、サウジアラビアに不安を、与えているのであろう。述べるまでもなく、サウジアラビアはイランの脅威に、さらされているからだ。したがって、トルコとエジプトの支援が、必要だということだ。 

 そこで、サウジアラビアはトルコとエジプトの、関係改善の仲介をした。その結果、トルコ側から出てきた条件は、エジプトのムスリム同胞団の受刑者を、死刑にしないということだった。もし、エジプト政府がムスリム同胞団のメンバーで死刑判決が下っている者たちを、死刑にしないのであれば、エルドアン大統領はシーシ大統領を、エジプトの正式な大統領として認め、両国の外交関係を正常化する、ということだ。

 今のところ、このトルコ側の条件提示に対して、エジプト側は立場を明らかにしていない。あるいは、現在エジプト閣内で検討中なのかもしれない。想像するに、エジプト側はこの条件を、新たな条件は付けても受け入れると思われる。それは、ムスリム同胞団のトップであるバデーウ師に対し、死刑判決を下したのち、終身刑に軽減しているからだ。

 それにもかかわらず、他のランクの低いムスリム同胞団メンバーが、絶対死刑にされるということはありえないのではないか。ただ、凶悪な殺人などを行った者に対しては別であろう。

 このサウジアラビアの仲介が動き出せば、トルコとエジプトは誰を死刑リストから外し、誰を残すかという、実務的な交渉に入るのではないか。エジプトもトルコも、経済の悪化のなかで、一か国でも多いビジネス・パートナーを、必要としているということでもあろう。