『トルコ国内で拡大するクルド人殺害への反対』

2016年1月19日

 

 トルコ国内で始まった反戦活動が、大きな広がりを示し始めている。これはトルコ南東部のクルド人に対する、トルコ軍の攻撃がPKKやクルド人反政府組織だけではなく、住民にも及んでいるため、犠牲者が増えているからだ。

 トルコのマスコミでは毎日、トルコ軍とPKKや反政府組織の戦闘が、続いていることが報じられているが、それだけではなく、一般住民の犠牲が増えていることも、報じられている。

 このことを問題視したトルコの学者やインテリが、トルコ南東部での戦闘を止めるように動き始め、署名を集めて政府に突き付けるようになった。これに対して、政府はこの署名活動は、テロリストを支援するものだとして、署名運動に参加した、学者やインテリの逮捕を始めた。

 しかし、それはトルコ社会のなかで、政府に対する反発を広げているのだ。この反戦運動にジャーナリストも参加し、署名に参加した人たちの数は、600人を超えている。もちろん政府はこのジャーナリストたちに対しても、厳しい対応を取り、逮捕し投獄している。「

 そうした流れのなかで、アンカラ市長の子息オスマン・ギョクチェク氏が所有する、政府支持のベヤズ・テレビの生番組で、元モデルでテレビ・コメンテーターをしている、トウチェ・カザズ女史がHDPと、トルコ南東部のテロ対策問題について、討議しているなかで、突然政府の姿勢を非難した。

 これは前代未聞出来事であり、生番組であったことから、取り消すことができなかった。こうした出来事と署名運動が続いていけば、政府に対する庶民の反発は、強まっていくのではないか。

 トルコの経済の悪化と重なり、外国資本はトルコから逃避している昨今だ。これからトルコ国内政治情勢は、ますます厳しさを増していく、と判断するのが正しいだろう。