『イスタンブールテロ何でもありのトルコ報道』

2016年1月14日

 イスタンブールの観光の一大スポットで起こったテロは、10人の死者と15人の負傷者を生み出した。さすがにトルコ人にはショックだったのであろう。さっそく犯人はIS(ISIL)だ、という結論が出たが、それだけでは終わらなかった。

 トルコのマスコミが言い出したのは、今回のテロの裏には、ロシアのプーチン大統領がいる、というものだった。しかし、記事を読んでいると、全く説得力がない。

プーチン大統領は中東地域で、テロ活動を行ってきていた人物であり、今回の場合もそれであろうというのだ。そして、シリアのアサド大統領やイランと協力して、実行したというのだ。

しかも、ロシアは公にIS(ISIL)を支持していたし、PKK(クルド労働党)も援助していたというのだ。これは全く嘘であろう.少なくともIS(ISIL)はアメリカやサウジアラビア、カタール、トルコの支援を受けている組織であり、ロシアとは協力関係にはない。

トルコの新聞はプーチン大統領が、自国の戦闘機をトルコによって、撃墜されたことへの、報復だというが、それはこじつけであろう。

今回のテロ事件の後、34人のロシア人が、逮捕されているようだが、彼らはとんだとばっちりを受けているか、あるいはロシア人の、IS(ISLIL)メンバーであろう。

IS(ISIL)にはご存じのとおり、多数の国々から、戦闘員として参戦しており、そのなかにはロシア人(コーカサスなどイスラム圏を中心に)も参加しているのだ。したがって、今回のテロ事件で取り上げられた、ロシア人のテロリストはロシア政府とは、違う立場に立っている、人たちなのだ。

イスタンブールの観光の中心地で起こったテロは、イスタンブール最大のグランド・バザール(市場)のすぐそばであり、今回のテロ事件後、グランド・バザールには誰も訪れなくなっている。このことは、そこで仕事をしている人たちにとっては、死活問題であろう。

グランド・バザールは観光の中心地でもあり、内外の観光客が毎日多数訪問し、ショッピングを楽しんでいるのだ。それが完全にストップした状態に、なってしまったということだ。

トルコのエルドアン大統領による失政が、対外関係を悪化させ、ロシアとの緊張関係を生み出し、輸出は大幅に減少している。例えば、これまでロシアに輸出されていた自動車部品は、8億ドルに上っていたが、それがセルビアにとって代わられ、完全にストップしてしまったのだ。

今回のテロ事件は、悪化するトルコの経済を、ますます悪化させることになり、政府への非難も、増えることになろう。