『イランのエルドアンへの言いがかり』

2016年1月11日

 

 イラン政府がトルコのエルドアン大統領に、言いがかりを付けている。イランのマスコミが大々的に、エルドアン大統領の関与を報じたのだ。それは先のサウジアラビアで行われたニムル師処刑に、エルドアン大統領が関与していたという話だ。どう考えてもありえない話なのだが。

 イラン政府が言うには、ニムル師の処刑は、エルドアン大統領がサウジアラビアを訪問した後に起こっており、これはエルドアン大統領がそのように、アドバイスしたから、起こったというのだ。

 もちろん、トルコ政府はこのイランの発表に強く抗議し、エルドアン大統領がニムル処刑と関係しているということは、根も葉もないでたらめだ、と否定している。

 また、トルコ政府はイラン政府が放置した、サウジアラビア大使館への抗議デモと、火炎瓶による攻撃を、激しく非難した。

 トルコのエルドアン大統領が、ニムル師の処刑について、あくまでもサウジアラビアの国内問題だ、と語っていたが、今回のイランのトルコ非難について、トルコ政府は同じようにニムル師処刑は、サウジアラビアの国内問題であり、エルドアン大統領には関係ない、と主張している。

 イラン政府がエルドアン大統領を非難したことは、あくまでも言いがかりと受け止めるのが常識であろうが、このことは、そこまでイランとトルコとの関係が悪化している、ということの裏づけであろう。

 トルコ政府はサウジアラビア大使館への抗議デモと、エルドアン大統領に対する中傷問題で、イラン大使を呼びつけ、厳重に抗議している。

 このような中傷が、イランによって行われたことについて、トルコのマスコミは、トルコがスンニー派諸国に対する影響力を、拡大していることにある、と論評している。

 トルコは国民のほとんどが、スンニー派であり、バハレーン、クウエイト、サウジアラビア、アラブ首長国連邦も然りだ。これらの国々はイランに接しており、敵対感情を抱いている国々でも有る。

 イランとトルコやサウジアラビアは、イスラム教のスンニーとシーアの宗派をめぐる、対立関係が存在し、双方が覇を競い合っている、ということであろう。