トルコ政府はイスタンブールで起こった事件の犯人を、どう発表するのかが、気にかかっていた。トルコのなかでも最大の都市であり、観光の中心でもある地域で起こったテロは、単なるテロ事件ではなく、これはトルコの経済に、ダメージを与えることも、狙ったものだからだ。 結論から言うと、政府系の新聞はIS(ISIL)の犯行だ、と断定し報じた。またダウトール首相もIS(ISIL)による犯行だ、と記者会見で語っている。政府系のアッサバー紙は、トルコが2013年の段階から、IS(ISIL)をテロ集団と断定していたと報じ、トルコはIS(ISIL)の第一の攻撃目標に、なっていたとも伝えた。 そして、トルコは27000人以上の、IS(ISIL)参加希望者の入国を阻止したと伝え、1200人が国内で逮捕された、とも伝えている。つまり、これまでトルコ政府はIS(ISIL)に対する対応を、きちんと行って生きていた、と言いたいのであろう。 トルコ政府の発表によれば、犯人はサウジアラビア生まれの、シリア人でナビール・ファドリという、IS(ISIL)のメンバーの、青年だということだ。短期間でこれだけ詳しく調べられたということは、トルコの警察や情報部が、しっかりしているということであろうか。 しかし、何故、今回のような事件が、トルコで起こったのかについて考えると、トルコ政府のこれまでの対応に、問題があったという意見もある。ボストン・グローブ紙のステファン・キンゼル記者は、トルコ政府のこれまでの IS(ISIL)対応に、問題があったと書いている。彼によれば、トルコ政府はIS(ISIL)を、甘く見ていたということだ。 2011年、エルドアン大統領はシリアのアサド大統領に対して、反政府問題で対応策を教えようと言ったところ、アサド大統領はその必要がない、と撥ね付けた。このことで怒り心頭に達したエルドアン大統領は、その後、反アサド派のグループと、IS(ISIL)を支援するようになったのだというのだ。 そして、エルドアン大統領はISなどに、武器を大量に供与してきたというのだ。それは、エルドアン大統領にすれば、彼の敵であるアサド大統領とクルド人に対して、シリアの反政府グループや、IS(ISIL)という二つの組織は、手を組める相手だったからだ。しかし、それが遂には、トルコでIS (ISIL)などに、テロを起こさせる、原因になったと述べている。 IS(ISIL)はトルコに対して、より多くを望むようになり、トルコがそれを止めた時は、トルコそのものを襲うようになるというのだ。まさに、ライオンに餌を与えていた時は、ライオンはその人を襲わないが、餌を与えなくなれば飢えたライオンは、その人を襲うことになるのだ。 |
『イスタンブール・テロ犯はIS(ISIL)』
2016年1月13日