『ISリビアの積出港落とせず』

2016年1月13日

IS(ISIL)はリビアをシリアの次の拠点とすべく、リビアの地中海南岸にあるシルテを、シリアのラッカ市に代わる、首都と決めているようだ。そのため、IS(ISIL)のリビアにおける戦闘は、激化しているようだが、しかるべき成果は、いままでのところ上がっていない。

1月11日、IS(ISIL)は海からリビアの石油積み出し港である、ズインタンに近いズエイチナ石油ターミナルを、攻略する作戦を実行した。IS(ISIL)側はボートで海から攻撃を仕掛けたようだが、この攻撃の情報は事前に、リビアの正統政府(トブルクを本部とする、国際的に認知された政府)
側のガードによってキャッチされ、反撃されて失敗に終わった。

リビアの主な産物は地下資源の石油だが、同国には480億バーレルの石油が埋蔵されている、と見積もられている。リビアはこの石油を、現段階でも50万バーレル生産している。

シリアとイラクの油田を、ほぼ失ったIS(ISIL)とすれば、リビアの石油は次の標的となって、しかるべきであろう。リビアはそのことに加え、アフリカへの玄関口であり、アフリカとヨーロッパをつなぐ、重要な拠点でもある。

アフリカのイスラム原理テロリストは、自由にリビアの南部地域に出入りしており、彼らにはIS(ISIL)の手も伸びているのだ。リビアにはカダフィ時代に輸入した大量の武器も隠匿されており、一大武器密輸国ともなっているのだ。

また、アフリカからの難民という形で、多くのアフリカ人が、リビアからヨーロッパに密航してもいる。この密航を助ける船主たちは、結構な稼ぎを上げているのだ。

アフリカ諸国からの難民(経済難民)として、アフリカ人が大量にヨーロッパに入り込めば、IS(ISIL)の細胞が入り込むということでもある。彼らがヨーロッパに拡散すれば、ヨーロッパ諸国はIS(ISIL)の脅威にさらされることに、なるということだ。