リビアの地中海南岸の中央部に位置する、シルテ市がIS(ISIL)にとって、シリアのラッカ市に代わる、首都になるという説が流れている。それには、それなりの根拠があるので、その理由を調べてみた。
エジプトのアハラム紙は同紙の記事のなかで、シルテがIS(ISIL)の首都になる根拠として、次のような点を上げている。
:IS(ISIL)はイスラム国からイスラム・カリフ制に変わる。それは多くのイスラム国を、内包するものであって、一国にこだわるものではなくなる。当然、そのなかにはアルジェリア、エジプト、チュニジア、リビアなども含まれる。
:シルテを新首都とするのは、同市がエジプト国境から遠く、エジプトは攻撃し難い。
:シルテはリビア国軍から遠く離れている位置にある。
:ベンガジ市とトリポリ市の中間に位置している。
:シルテは石油積出港に近く、そこを支配することは経済的メリットがある。
:シルテの近くには空軍基地がある。
:シルテのそばには産業用河川がある。
:シルテには発電所がある。
:シルテにはIS(ISIL)に対抗できるだけの、武力組織が存在しない。
:カダフィ支持派は人参と鞭の論理で動く。これはイラクのバアス党残党との、
連帯と同じだ。
しかし、IS(ISIL)の首都移転については次、のような考え方もある。
:IS(ISIL)がラッカ市を手放すほど、敗北するという保証は何処にも無い。
:IS(ISIL)がシルテに移動するのは、戦略的なものだ。
:リビアにはIS(ISIL)戦闘員の訓練基地があり、そこからイラクに戦闘員が、送られていた。
:英米のリビアでのIS(ISIL)との戦闘が、成功する保証はない。
:リビア在住のエジプト人をリクルートできる。シルテには300人のエジプト人IS (ISIL)メンバーがいる。
:リビアのIS(ISIL)ベースは、リビア、エジプト、チュニジア、アルジェリアに加え、チャドやマリなどとの連絡基地にもなる。
この考えが事実なら、IS(ISIL)のリビア進出は、相当深く検討された結果、ということになる。一説には、IS(ISIL)にリーダー・バグダーデイも、既にシルテに入っているということだ、しかし、それはまだ、確認できていない。