『トルコでシリア難民が500万人になる日』

2016年1月28日

 

 トルコの研究所の予測では、これから10年の間に、トルコに居住するシリア難民の数が、500万人に達するだろう、ということだ。8000万人弱のトルコ人口に対する500万人は、63%に近い割合であり、少なくなかろう。

 もし日本の人口で考えれば800万人に近い数だ.それだけの難民を日本は受け入れることができるだろうか。近い将来、中国の経済が崩壊し、600万人以上の中国人が、日本になだれ込んでくる、という予測をしている人がいるが、日本にはそれに対する、対策はなかろう。

 トルコ政府はいま、この難民にどう対応するかを、真剣に検討している。トルコは自国民がヨーロッパに大量に移住し、そこに住み着いていることから、シリア難民もトルコに入り、その後、シリアの状況が改善しても、80パーセント程度はそのまま、トルコに留まると予測している。

 既に、40万人のシリア人は、トルコ国内で仕事を見つけており、トルコから出て行こうとは考えていない。彼らのほとんどは、シリアの田舎の出身であり、トルコでの便利で物資が豊富な都会生活を、楽しんでいるということだ。

 このことが将来、トルコに多くの負担をもたらすことになろう。教育を受けさせなければ、シリア難民の子供たちは非行に走り、犯罪者となって行く、危険性がある。また、アラビア語で教育を施しているのは、イスラム原理主義組織による場合が多く、イスラム原理主義者、過激主義者が増えるということだ。

シリア人難民のほとんどは、トルコに定住することを希望しており、定住希望者の割合は80パーセントだ、と見積もられている。シリア難民の出産は、毎日125人、既に20万人の赤ちゃんが、トルコ国内で誕生しているのだ。

そして、子供たちの数は70万人に達し、そのうち40万人は教育を受けていない。彼らは確実に単純作業しかできない、成人になって行くだろう。いまトルコの教育システムに組み込まれ、トルコ語で教育を受けている、シリア難民の子供は、67万人でしかないのだ。

トルコのエルドアン大統領は彼、らにトルコ語で教育を程施し、トルコでの労働許可を与え、社会に取り組んでいく、方針のようだ。

残念なことに、シリアの都市部で育った人たちは、トルコに留まらず、ヨーロッパに難民として、移り住んでいる。トルコからドイツに移住した、教育を受けたシリア難民の割合は40パーセント、トルコに留まったのは、7パーセントでしかない。

トルコが抱えるシリア難民の問題は、明日の日本の問題でもあろう。トルコにこの問題への対応策を今のうちから、学ぶべきであろう。