『アメリカの2要人がエルドアン非難』

2016年1月23日

 

 アメリカの二人の要人が同時期に、トルコのエルドアン大統領を非難した。その二人とは、学者のノーム・チョムスキー氏であり、もう一人は、アメリカの副大統領ジョー・バイデン氏だ。このことは、今後のエルドアン体制に、少なからぬ影響を及ぼすのではないか、と思われる。

 まずジョー・バイデン副大統領は、トルコの表現の自由の事情について非難した、彼に言わせれば、トルコではいま、ツイッターやユーチューブによる情報伝達が、阻止されていることは問題だということだ。

 また、学者やインテリの発言が、阻止されている点についても、非難している。『学者たちが単にクルド地域問題でサインしただけで、1000人以上もの逮捕者が出ている。これは是正されなければならない問題だ。』と言ったのだ。

 もう一人のアメリカを代表する人物ノーム・チョムスキー氏は、アルジャズイーラ・テレビとのインタビューに対して、『貴方はトルコ政府側なのかテロリスト側なのか?』という質問に、『エルドアンは疑うべくも無い暴虐を、クルド人に対して行っている。』と語った。

 加えて、ノーム・チョムスキー氏は『エルドアンのことを私は殺人者だと呼ぶ。彼は権威主義者でもある。』と語った。

 ノーム・チョムスキー氏が左翼思想の持ち主であることから、エルドアン大統領を非難するのは、何の疑問も沸かないが、ここまで明確にエルドアン大統領を、殺人者と名指しで語り、権威主義者つまり独裁者と言い切ったのには、少なからぬ驚きを感じる。

 また、アメリカの副大統領であるジョー・バイデン氏が、トルコの表現の自由に付いて言及し、1000人の学者に対するトルコ政府の、対応についても言及したことは、トルコ政府にとってはショックであろう。

ツイッターやユーチューブについては、これまでもヨーロッパ諸国などが、非難をしていたので、驚くことも無かったろうが、つい最近、学者たちが行った、トルコ南東部のクルド人に対する、トルコ軍の攻撃反対の署名にまで、言及してくるとは、思っていなかったかもしれない。

 アメリカ政府のトルコ政府、なかでもエルドアン大統領に対する対応は、大分熱が下がってきているよう、に感じるのだが、今後どう推移していくのであろうか。注視するに値しそうだ。