パレスチナ問題は中東問題のなかにあって、最も古く複雑な問題だ、とされてきていた。しかし、アラブの春革命が始まり、シリアやイラクの混乱が続くなかでは、影を薄め、国際的な関心も弱まってきていた。
国際的な関心が弱まっているとはいえ、パレスチナ問題が改善の方向に、向かっているわけではない。年々その問題は困難さを、増しているのではないか。それはパレスチナ側にとってだけではなく、イスラエル側も然りであろう。
昨年の半ば過ぎ頃からであったろうか。パレスチナ人の間では、前進が全く見られない問題の解決には、やはり武力闘争が必要だ、という意見が拡大したようだ。ガザ地区ばかりではなく、ヨルダン川西岸地区でも、武器の隠匿がイスラエル軍によって、明らかにされるということが、何度と無く続いた。
もうひとつの新たな動きは、ナイフでイスラエル人を襲うということが頻発し始めたことだ。その攻撃対象は、軍人や警察ばかりではなく、イスラエルの一般市民女性や子供も、含まれるようになった。
このため、イスラエル社会はパニック状態に陥り、イスラエル側は犯行に及ぶパレスチナ人を、負傷させて逮捕するのではなく、その場で銃殺するケースが増えている。ある若いパレスチナ人女性は、不審な動きをしただけで、何発もの銃弾を、イスラエル兵によって浴びせられ死亡した。
パレスチナ人でナイフによるテロ犯行に及び、何人が殺されたのか不明だし、何人のイスラエル人が殺されたり、負傷したのかも不明だが、今年逮捕されたパレスチナ人の数は6830人だ、とアッサフィール紙は伝えている。
パレスチナ人は現在の状態を、第三インテファーダと呼んでいる。最初のインテファーダは投石などによる、比較的穏健な抵抗であったが、それでは埒が明かない、と思ったからであろう。
イスラエル側は現状に対して、妥協するつもりは無いようだ。イスラム第三の聖地アクサ・モスクを蹂躙する、ということも起こっているし、それを破壊して、ソロモンの第三神殿を建設するという、噂も広がっている。
それが進めば、ユダヤ人とムスリムが真っ向から衝突することになり、イスラエルは国家が崩壊するかもしれない。ネタニヤフ首相の父がアメリカで既に神殿用の石材を刻んであり、イスラエル政府の建設許可さえ出れば、たちまちにして、完成するということのようだ。
また、ヨルダン川西岸地や東エルサレムには、次から次と入植地が建設されてもいる。最近も55000戸の住宅建設が決まったようだ。パレスチナ問題はますます、困難になっていくということか。