つい最近、トルコのイスタンブールにあるアタチュルク空港で、ヨーロッパ各国のパスポートを持ち込もうとした、二人の人物が逮捕された。一人はベルギー国籍のトルコ人(PKKメンバーとして逮捕された経歴がある人物)であり、もう一人はシリア人だった。
二人はヨーロッパのパスポートを、ピザ製造機のなかに隠して、持ち込もうとした。そのパスポートの数は、148冊と多数であり、しかも、みな本物だったということだ。
氏名その他の書き込み欄は空白であり、そこに所有者のデータを書き込めば、本物のパスポートとして通用する代物であり、パスポートはフランス、イギリス、ドイツ、アイルランドが発行したものと、多国籍にわたっていた。
これらのパスポートは各国政府が作ったものであり、間違いなく本物だということだが、一体どのような経路で二人の人物は、これらを入手したのであろうか。
第一に考えられることは、これらのパスポートを発行した国には、多数のイスラム教徒が入国し、いまでは国籍を取得して住んでいるということだ。つまり、内部犯行としてこの正規のパスポートが、外部に流れたという、推測ができよう。
第二の可能性は、各国の係官か職員の中に、パスポートを持ち出して、外部の人物に売った者が、いたということだ。これは単純な金儲けが、目的であったろう。
問題はこのヨーロッパのパスポートを、誰が所持し、何処に行き、何をしようとしているのかという点だ。一時期、日本のパスポートが外国で盗まれ、アジア人に高値で売られていた、というニュースがあったが、この場合は、そんな単純なものではあるまい。
考えられることは、IS(ISIL)のメンバーやPKKのメンバーが、ヨーロッパのパスポートを持ってEU圏に入り、テロを企てるのではないかということだ。以前に書いたかもしれないが、IS(ISIL)はアフガニスタンに進出しているが、彼らは麻薬の密輸を、考えているものと思われる。
石油の密輸がうまく行かなくなってきているなかで、麻薬はIS(ISIL)にとって、次の巨額な利益を得る、商品になるのではないのか。ヨーロッパのパスポートを所持していれば、他の国のパスポート所持者よりも、検閲は厳しくなかろうと思われる。
加えて、彼らがヨーロッパでテロを実行していく、可能性も否定できまい。