『ロシア船舶はボスポラス通過禁止になるか』

2015年12月 7日

 

 ロシアの船舶が艦艇だけではなく、民間船も通過が禁止されるのではないか、という懸念が広がっている。それは実際の起こるのではないか、という懸念があるのだ。

 この問題が浮上したのは、ロシアの艦艇の乗組員が、ロケット弾のようなものを持ち、何時でも発射できる体制にあることが、写真で公開されてからだ。それはあたかも、ボスポラス海峡の沿岸の街を、攻撃するという不安を、抱かせているのであろう。

 この問題めぐって、トルコの識者たちは喧々諤々で、議論が沸騰している。なかには強硬論者もおり、もし、ボスポラス海峡をロシア艦隊の前に閉鎖することになれば、ドイツのナチの軍隊が1942年に、スターリングラードを攻撃し、敗北したのと同じ状況に、なると力説している。

彼に言わせれば、ボスポラス海峡をロシアの船舶が、通過できなくなれば、シリアで展開しているロシア軍は、戦闘継続が出来なくなる、というのだ。確かにそうであろう。ロシア側は武器弾薬から兵員の食料まで、このボスポラス海峡を通過して届けているのだ。

それでは、ロシアの民間船の状況は、どうであろうか。実は民間船はいま数時間の、滞船を義務付けられている。船に武器が搭載されていないか、それ以外の危険なものは積まれていないかを、検査する必要があるからだということだ。

ボスポラス海峡は狭いことから、船に爆弾弾薬類が、多数積まれてあり、爆発したら、両岸の人や建物に、大きな被害が出る危険性があるから、トルコにはその検査を実施する、権利があるということである。

しかし、現実にはロシア船舶のボスポラス海峡通過をトルコが禁止することはなかろう、というのが専門家の間の、共通認識のようだ。もし、そういうことをすれば、トルコは国際法違反に問われる、可能性があるからだ。

トルコはロシア機の撃墜以来、ロシア側が行っている制裁に対して、何らかの対抗措置を取りたい。そのためのジェスチャーではないのか。もし、本気でボスポラス海峡の航行を、禁止するような措置に出れば、ロシアは躊躇せずに、トルコに攻撃をかけよう。

そんなリスクを取るつもりは、トルコにはなかろうし、ロシアもそこまでは、緊張を高めたいとは、考えていないのではないか。ただ、物事は常識ばかりでは判断、予測できないことがある。十分に警戒の要ありということであろう。