イラクのファウード・マスウーム大統領が、トルコ軍のイラク国内での展開に対し、激しい非難の言葉を浴びせた。これに対しトルコ政府は、トルコ軍がイラク北部の街モールスの近郊で、スンニー派やクルド人に対し、軍事訓練をすることを目的に入ったのだ、と主張している。
イラク側に言わせれば、これは国際法違反であり、許せない行為だということになるのだが、トルコ側はダウトール首相の口を通じて、今回のトルコ軍のモースル近郊での展開は、特別新しいことではない、これまで行ってきた軍事訓練以外の、何ものでもないと語っている。
確かに過去1年ほど、トルコはクルド人やスンニー派の住民、主に元警官に対して軍事訓練を、施してきているが、これまでイラク政府は、クレームを付けることはなかった。
ただ今回の場合、トルコは戦闘車両に加え、戦車も送っており、トルコ兵の数も150人に達している。これはクルド自治政府との合意によるものだ、ともトルコ政府は説明している。イラク政府はトルコ政府側の釈明を受け入れず、在イラク・トルコ大使を呼び、クレームを付けている。
他方、アメリカが軍をイラクイ領土内に、増派しようとしたのに対し、イラクのアバデイ首相は反対していることがあり、トルコとアメリカとの間では、秘密の話し合いの結果、強引に派兵しよう、ということなのかも知れ得ない。
アメリカがイラクに軍を増派したいのは、IS(ISIL)の問題もさることながら、このところ、イランのイラクへの進出が、目立ってきているからであろう。こうなると将来、アメリカ軍とイラン軍が、イラク領土内で武力衝突することも、考えられるのだ。