『カリフォルニアのテロはISに関係無いようだ』

2015年12月 6日

 

 カリフォルニアのサンベルナルデイノ市で起こったテロ事件は、14人が死亡し、21人が負傷するという、凄惨を極めるものだった。

 犯行はファルークと彼の妻、タシュフィーンによって行われた。機関銃と拳銃を彼らは所持しており、ファルークの職場の友人たちが集まる、年末のパーテイの会場が、犯行現場となった。

 このテロ事件が起こると、ISはあたかも彼らに指示し、犯行を起こさせたように振舞っているが、実は直接の関係は無かったようだ。

 しかし、妻のタシュフィーンは、IS(ISIL)に携帯電話のメールで連絡を、取ろうとしていたことが、FBIの調査でわかっている。夫ファルークについてもISと関係があった、という内容の報道を、NYタイムズはしているようだが、定かではない。

 問題は何故この夫婦が、突然犯行を企て、彼らだけで実行したのか、ということだ。しかも、夫であるファルークはサンベルナルデイノ市の、地方事務所に勤務していたようで、特別生活に困ることも、無かったのではないか、と思われる。

 いまのところ、2人がどのような過激派と、連絡を取っていたのか不明だが、FBIは数年前に、ファルークが過激派と連絡を取っていたことがある、と発表している。しかし、彼が通っていたモスクのイマームは、何も特別変わったことの無い、普通のムスリムだった、と証言している。

 もし、IS(ISIL)との関係がなくて、今回のテロ事件が起きたのであれば、今後アメリカに在住するムスリムは、極めて不利な立場に、おかれるのではないか。大分前からイスラム教徒脅威論が、言われ始めていた。

そのことがあり、今回のテロ事件を経て、アメリカのキリスト教徒のなかで『イスラム教徒は普通の人間が、突然テロリストに変貌する』といった認識が生まれ、定着する危険性があるからだ。

今回のような事件が起こるのでは、キリスト教徒側に対して、イスラム教徒を敵視するな、差別するなと言っても、なかなか難しいのではないか。イスラム教徒とキリスト教徒の間に、警戒感や不信感や敵視感情が定着してしまっては、取り返しの付かない状態になろう。

現在のアメリカ社会は、所得格差が異常なまでに拡大し、失業が増え、経済状態は先行きが、不透明を通り過ぎている。そうした社会環境では、何時民族間や宗教間の衝突が起こっても、不思議ではなかろう。

何処かの賢者の英知が、アメリカをこの危機から救えるのだろうか。