アフガニスタンにおける、IS(ISIL)の活動が、活発になってきている。当初、一部のパキスタン・タリバンが、IS(ISIL)に対して、バイア(支持し服従する宣誓)をした、という情報が流れていたが、ここに来て、パキスタン・タリバンはIS(ISIL)とは、一戦を隔すことを明確にした。
それはそうであろう。もし、IS(ISIL)がパキスタンで拡大してしまえば、パキスタン・タリバンは相当のダメージを受けるか、あるいは飲み込まれてしまうからだ。既に、IS(ISIL)によるパキスタン・タリバンの取り込み、リクルートが始まっているのだ。
パキスタン・タリバンはIS(ISIL)のバグダーデイをカリフとするという考えに、真っ向から反対の立場を、明らかにした。彼らに言わせると、『カリフとはムスリム世界全ての、指揮官でなければならない。しかし、バグダーデイは一部のムスリムを、指揮しているに過ぎない。』と語っている。
現在、IS(ISIL)の活動が活発だとされる国は、エジプト、イエメン、リビア、アフガニスタン、シリア、イラクなどに限られている。
また、イスラム法(シャリーア)に則って、公正な裁きが行われなければならないが、バグダーデイの統治下では、そうはなっていない。他のグループのムジャーヒデーン(聖戦の兵士)を、正統な理由も無しに殺害している、とも非難している。こうした、パキスタン・タリバンの冷たい反応の裏には、IS(ISIL)の資金が、パキスタン・タリバン側に、まだ渡っていないこともあろう。
このパキスタンにおける、IS(ISIL)の伸張については、アメリカも頭を痛めているようだ。最近になって、アメリカの軍高官から、IS(ISIL)のパキスタンにおける拡大振りが、報告されるようになった。
アメリカの推測では、過去5~6ヶ月の間に、1000~3000人のIS(ISIL)戦闘員が、パキスタンに入っている、ということのようだ。この結果、昨年の同時期に比べ、首都カブールで起こったテロ事件が、27パーセント増加しているということだ。
アフガニスタンからはアメリカ軍が撤退し、現在、600人程度が軍事指導などの名目で、駐留しているに過ぎず、近い将来は、完全撤退もありうる。そうなると、IS(ISIL)はパキスタンに勢力を拡大しておけば、何時でもアフガニスタンを抑えることが、出来るようになろう。
IS(ISIL)がアフガニスタンを支配するようになれば、アフガニスタンの麻薬はヨーロッパ、ロシア、中国などに、大量に密輸されることに、なるのではないか。もちろん、その一部は日本にも、入ってくることになろう。