イギリスのサンデー・タイムズとのインタビューで、シリアのアサド大統領は、イギリスがシリアに進出し、ISなどテロリストを、空爆し始めたことについて言及し、このイギリスの作戦は成功しない、と断言した。
その理由は簡単に言ってしまえば問題国であるシリアと何の協議もせずに始めたからだということになる。
アサド大統領はロシアの例を引きながら、ロシアの作戦がなぜ成功しているかについて、説明している。それによれば、ロシア政府は十分に自国内で検討し、その後、シリア政府と協議し、シリア政府の承認のもとに、攻撃を開始したということだ。
イギリスの場合、何が目的なのか、本当にIS(ISIL)を打倒する気があるのか、という点が不明だ、とアサド大統領は語っている。フランスも同様であろう。
また、西側諸国が言うところの、穏健派テロリストなどというものは、存在しないとも語った。
そして、IS(ISIL)本気で打倒しようと思うのであれば、空爆だけでは成功しない。地上軍の展開も、必要だと語っている。事実そうであろう。どの戦争でも空爆だけで終わった試しはないからだ。サウジアラビアのイエメン侵攻では、結果的に陸軍を投入し、3000人以上の戦死者を出している。
アサド大統領はそこまでは語っていないが、ロシアのように、シリア政府と十分に協議し、IS(ISIL)の展開の情報を持ち、そのうえでポイント攻撃をしなければ、空爆の成果は上がらないということだ。
シリア政府は現在、ロシア政府と協議し、ロシア軍機が空爆をして、IS(ISIL)を弱体化し、そこにシリア軍が地上部隊を送り込んで、一定の成果を上げることが、出来ているのだ。
不十分な情報のままで、イギリスが空爆を敢行すれば、結果は惨憺たるものに、なるのではないか。地上ではシリアの民間人が、イギリスの空爆によって、相当数犠牲になるという、最悪の事態も発生しよう。
シリアのアサド憎し、の感情論だけで、強行突破を図っても意味がなかろう。しかも、そのアサド大統領はいま、ロシアとイランが支援しているので、そう簡単には、体制が打倒されるということは、近い将来には起こるまい。
フランスの動きは、少しイギリスとは異なるようだ。フランスはアサド体制が、当分存続してもいいだろう、というニュアンスの発言を、し始めている。ドイツもしかりであろう。