トルコ南東部の街、デヤルバクルの与党AKPの幹部が、クルド人に自治を認めるつもりがある、という内容の発言をした。このことは画期的なことであり、少なからぬショックを、与党内部にも引き起こしているようだ。
デヤルバクルのAKP幹部ガリプ・エンサリオール氏が、クルドの自治を認める内容の発言をしたのに対し、AKP本部の副議長であるセルジュク・オズダウル氏は、この発言を馬鹿げていると語り、否定している。
クルド側のムラト・カラヤン氏は、この発言を一部歓迎しながらも『クルドの第一の要求は、PKK議長アブドッラー・オジャラン氏の釈放であり、次いで自治の問題だ。』と語っている。
何故、AKP本部の意見と、デヤルバクルのAKPの意見とが、食い違っているのかについては、種々のケースが推測できよう。トルコ南東部の最近の状況が、あまりにも酷すぎるために、現地のAKP幹部は何とか状況を沈めようとして、アドバルーンをクルドと政府に対して、揚げたということだ。
第二に考えられるのは、完全な意見の食い違いが、AKP本部とデヤルバクルのAKPとの間で、発生しているということだ。だが、いまの段階ではダウトール首相も、エルドアン大統領もこの問題については、発言していない。最終的な判断は、そのいずれかの意見が、出されてからであろう。
トルコ南東部では、日増しにPKKによる、テロ攻撃が増えており、軍人や警官だけではなく、一般市民も犠牲になっている。そろそろ、何らかの手を政府が打たなければ、今後、ますますテロが激化し、最後にはトルコ国内の内戦に、つながる危険性もあろう。
今回のデヤルバクルのAKP幹部、ガリプ・エンサリオール氏の発言は、現場の窮状を理解している、立場からのものではないのか。そのことは、トルコの南東部がいま、極めて危険な状態に、突入しつつある、ということではないか。