ことの重大さに、いまになって、気がついたのであろうか。トルコのエルドアン大統領が泣き言を言い始めている。ロシアの軍用機を撃墜したことが、相当高くつく、と実感し始めたのであろう。
彼は彼の支持者を集めた、トルコ西部の町バルクシェールで『そんなことが起こらないことを望むが、現実に起こってしまった。このようなことは、二度と起こらないことを望む。』と語っている。
支持者を前にして、エルドアン大統領が弱音とも取れる、発言をしたということは、それだけ問題が大きな影響を、トルコに及ぼすことを、やっと理解したからであろう。
もし、プーチン大統領が決断すれば、ロシアのガスはトルコに届かなくなるが、そうなるとトルコは60パーセント程度、ロシアのガスに依存しているのだから、この冬のトルコは、シベリア並みの寒さのなかで、国民が送らなければならないことになろう。
しかし、エルドアン大統領は卑怯な命令を、ダウトール首相に対して、下したようだ。『今回のロシア軍機の撃墜命令は、私が出した。』とダウトール首相に言わせたのだ。
だが、いまのトルコの国内政治を見ると、とてもダウトール首相には、そんな重大な命令を出せるわけがない。命令はあくまでも、エルドアン大統領が発したものであろう。
エルドアン大統領は一応、国際社会に対し、今回の撃墜問題について、謝罪に近い発言をしたが、他方では相変わらず、シリアの反体制派を支援し、大量の武器を送っている、つまり、全く反省していないということであろう。
そうしたエルドアン大統領の心理と性格を、プーチン大統領は良く知っているようだ。だから彼は、エルドアン大統領の申し込んだ会談に対し、返答もしていないのであろう。
アメリカはこの問題に付いて、ほとんど発言していないが、それはアメリカも不味かった、と思っているからではないのか。。撃墜事件の後、シリア対応でロシアとフランス、そしてドイツは一丸となって、対応するという雰囲気になっているし、アメリカの盟友イギリスも、その方向にあるからだ。
エルドアン大統領に感情の爆発が目立つのは、彼の汚職問題がこじれにこじれ、場合によっては彼の体制が崩壊したり、トルコ国民が反発し、結果的に彼と彼の家族が裁判にかけられ、有罪となることを、恐れているからではないのか。