『トルコの露機撃墜についてもう一言』

2015年11月26日

 

 トルコによるロシア機の撃墜について、もう一言言わせていただこう。これは確実に、事前に準備された計画的な、行動であったと言えよう。つまり、平たい言い方をすれば、計画的殺人だった、ということだ。

そのことについては、常識的な判断から、結論が出てくる。まず、ロシア機が領空侵犯をしたのに対しての対応として、トルコ機が空軍基地から飛び出していたのであれば、とてもロシア機がトルコ領空内にいる間には、現場にたどり着けなかったろう。

ロシア機がトルコの領空を侵犯したのは17秒間だったといわれている。しかも、間に合わずにロシア機を撃墜したのは、シリア領空内だったということだ。つまり、トルコ機は既に上空にあって、ロシア機の侵入を待ち伏せしていた、ということであろう。

そして、そのような行動をトルコ空軍が取れたのは、トルコ政府内部に意見の一致があったか、エルドアン大統領が大統領権限で決めており、空軍にその旨を、指示していたからであろう。

そうでなければ、トルコ空軍が単独でロシア機を撃墜するなどという、大それたことは、起こらなかったろう。つまり、この事件はエルドアン大統領によって計画され、命令が出され、実行されたものだったということだ。

常識で考えれば、領空から出て行って、既にシリア領空に入っていた飛行機を、撃墜するなどということは、起こりえなかろう。せいぜい、後日、トルコ政府からロシア政府に対して、クレームが出される程度なのではないか。

ではトルコは何故ロシア機を、撃墜したのかということだが、エルドアン大統領はロシアがシリア国内の、トルコマンに対して攻撃を加えていることに、激怒していたと伝えられている。

それはそうであろう。ロシアのシリア政府支援は効果を生み、IS(ISIL)は相当追い込まれていたのだ。トルコはそのIS(ISIL)を使ってシリア政府を打倒し、返す刀でクルドを殲滅しようと考えていた。それが皆不可能になっていることに加え、シリアのトルコマンつまり、同じトルコ人がロシアによって、攻撃されていたのだから、エルドアン大統領が激怒しても、不思議はあるまい。

そしてもう一つの点は、トルコがこれまで一度も勝利したことのない、ロシアに対して戦争にもなりかねない、危険な行動に出たのは、何故かということだ。この裏には、NATOかアメリカが、トルコの後ろ盾をする、という約束があったのではないのか。