この情報はサウジアラビアの新聞、シャルクルアウサト紙が報じたものであることから、完全に信用できる、とは言いかねるのだが、重要な変化なので、お伝えすることにした。
このシャルクルアウサト紙の報ずるところによれば、イランの南西部アフワーズ出身の、革命防衛隊将官複数がシリアでの戦闘に、参加することを拒否しているということだ。
このアフワーズ地域は、イラン領土内にあって、アラブ人のしかもスンニー派の住民が、ほとんどを占めている地域なのだ。このため、イラン・イラク戦争が起こった初期の段階で、イラクのサダム・フセイン大統領はアフワーズを解放し、かの地の住民をイラク側につかせて、イランと戦うと宣言したことがある。
イランの革命防衛隊がシリア国内で、戦闘に参加している、という情報は以前から伝えられてきているし、最近では、イランの将官がシリアで戦死したことも、イラン国内を含め、公に伝えられている。
そのシリア国内で戦っている、イラン将兵の数がどれほどであり、どれだけの戦死者が出ているのかについては、正確な情報が伝えられていない。
イランがシリアの戦闘に将兵を送り、戦闘に参加させているのは、あくまでもシーア派のアラウイ政権である、アサド体制を守るためだが、このことは、シーア派の将兵は喜んで戦闘に参加できる理由になっている。同じシーア派のために戦うのだからだ。
しかし、アフワーズの地方出身の将兵たちは、イラン国民であってもペルシャ人ではないしスンニー派であり、シーア派では無いアラブ人なのだ。これではシリア国内でシリアの、スンニー派の反体制側と戦うことは、身内を殺すことであり、到底受け入れ難いということになろう。
しかし、戦闘が長引きイランの、シーア派の将兵の犠牲者数が増えてくれば、おのずから、シーア派将兵のなかから、何故スンニー派の将兵を、シリアに送らないのか、という不満が沸いて来よう。
一説によれば、シリア国内で戦闘に参加し戦死した、イラン将兵の数は165人、アフガニスタン兵が154人、パキスタン兵26人だと見積もられている。彼らの全ては、シーア派だということだ。
今回のスンニー派イラン将兵による、参戦拒否の情報が事実であるとすれば、将来、イランの革命防衛隊内部に、分裂が起こる危険性を予測させるし、その次の段階では、ハメネイ体制の不安定化も、予測できるということだ。