『ロシアの空爆でIS(ISIL)の石油収入がた減り』

2015年11月 1日

 

 ロシアが去る930日から、シリア政府の要請を受けて、IS(ISIL) 掃討作戦に参加している。その攻撃振りには、目を見張るものがあるようだ。正確にIS(ISIL)の重要拠点を、空爆しているのだ。

 このロシアの空爆によって、IS(ISIL).は多くの施設を破壊され、多数の戦闘員が死亡している。IS(ISIL)の武器庫が爆破され、武器弾薬も失っているし、訓練所や作戦本部も、攻撃されている。

 このため、一部のIS(ISIL)の幹部やその家族は、外国に逃避したと伝えられているし、戦闘員も逃亡を図り、多くがIS(ISIL)に逮捕され、処刑されている。イラクのモースルでは少年たちが、無理やりIS(ISIL)に徴兵され、軍事訓練を受けさせられたが、戦闘参加を拒否したところ、多数が処刑されたという報道もある。

 つまり、IS(ISIL)の現状は相当に弱体化している、ということであろう。その第一の要因は、ロシア機による空爆で、IS(ISIL)が最大の資金源としてきた、シリアやイラクで盗掘している、石油の密輸が困難になってきていることだ。

 IS(ISIL)の石油密輸などによる予算は、20億ドルと推定されているが、いまはそのレベルには、遠く及ばないだろう。

 IS(ISIL)の資金源には、各国の情報部があり、サウジアラビアとカタールがある。また、サウジアラビアやカタール等の金持ちの寄付もあるし、トルコ政府の支援も、あるといわれている。IS(ISIL)による石油の密輸は、もっぱらトルコの支援によるのだ。

 IS(ISIL)はシリアやイラクでの活動が、窮地に追い込まれてきたために、リビアにも進出しているが、まだ確固たる拠点の構築には、成功はしていないようだ。アフガニスタンへの移動も伝わっているが、同国に進出したのは、麻薬ビジネスに手を出して、資金を稼ごうという、算段からであろう。

 しかし、当初考えていたであろう、タリバンとの連携は、まだ進んでいないようだ。麻薬を入手さえ出来れば、ヨーロッパに流れ込んだ、シリアやイラクの難民と、そのなかにもぐり込んでいるIS(ISIL)のメンバーらによって、どうにでも、販売が出来よう。

 ヨーロッパ諸国にとっては、シリアやイラクからの難民の受け入れと、彼らをめぐる支援問題に加え、治安問題、麻薬の拡散の脅威が、待ち受けているということだ。