『トルコは孤立・英仏独が対ISで露とて連携』

2015年11月27日

 

 今回のトルコ軍機による、ロシア軍機撃墜事件は、これまで見え隠れしていた、不明確だったものを、明確にしたようだ。それはヨーロッパの主要諸国が、アメリカを信用せず、ロシアに接近し始めている、ということだった。

 トルコがロシア軍機を撃墜するという暴挙はイランの政府高官が語るようにとんでもないミスであり、それを支持したアメリカはもっと国際的信用を失うということであろう。

 今回の撃墜事件を巡り、最初に言われたことは、トルコに対してNATOが支援の体制を、とるだろうということだったが、その予測は外れるのではないか。ヨーロッパ諸国はトルコが難民問題でヨーロッパ諸国を恫喝していると受け止めていたさなかに、今回の露土緊張状態が発生し、内心ではほくそえんでいるのではないだろうか。

 ロシア軍撃墜事件のすぐ後に、オランド大統領はロシアを訪問し、プーチン大統領と協議している。その結論は、ロシアとフランスが協力して、IS(ISIL)退治に当たる、というものだった。

 同じタイミングでドイツもシリアへの軍の派兵を言い出しているし、イギリスのキャメロン首相も『参戦する時期が来た』という内容の発言をしている。つまり、これら3国はロシアと協力して、IS(ISIL)の掃討作戦に当たる、ということであろう。

 アメリカはIS(ISIL)を叩くと言いながら、裏ではIS(ISIL)に有利に働く作戦を、展開してきたし、IS(ISIL)に対して武器その他の必要な物資を、空から投下しても来ていたのだ。

 トルコがこれまでIS(ISIL)に対して支援を続けてきていたことは誰もが知るところだ。その結果100万人に近い難民がヨーロッパに流れ込み、ヨーロッパは大混乱の瀬戸際に立たされている。

 そこでヨーロッパ諸国は、ロシアこそがシリア問題、IS(ISIL)問題を解決できると判断し、アメリカではなく、ロシアと協力することを、選択したのであろう。

トルコによるロシア軍機撃墜事件は、こうしたヨーロパの真意を、表面化させたということであろう。

それに対して、アメリカには何が残されているのであろうか。パリ・テロの第二幕をヨーロッパのドイツかどこかでやるのか、あるいはこれとは全く異なる作戦をアメリカ国内で、やるのかは予測できない