今回のパリにおけるIS(ISIL)による、テロ事件をきっかけに、文化というものが、その社会の安定維持にとって、非常に重要なのではないか、と考えさせられた。
ヨーロッパのなかで、幾つかの国は自由を最優先し、幾つかの国は秩序を、最優先しているのではないか。例えば、フランスは自由が国家の、最高の理念であり、それを誰も否定しない。
他方、イギリスは秩序を、最優先させているのではないだろうか。テロ事件をきっかけに、イギリスとフランスのイスラム教徒社会の、状況が伝えられてきたが、それによれば、フランスには多くのイスラム教リーダーと、イスラム教のイデオロギー、イスラム思想が存在する、ということのようだ。
このため、フランス政府は在仏イスラム教徒たちをまとめて、交渉することは不可能に近い。それぞれが異なった考えを持っており、イスラム教徒側の意見を統一することは、不可能なのだ。
他方、イギリスのイスラム社会は、比較的(?)統一されており、各グループの横の連携も強いようだ。したがって、イギリス政府はこれらの組織と、連絡を取り、交渉し、妥協することが、より容易な状態にある、ということであろう。
もう一つの、イギリスとフランスとが異なる点は、イギリスは外国人に対して寛容であり、社会に取り込もうとしている。ある私の友人で、長期イギリスに滞在している友人が『イギリス人は外国人と結婚することに抵抗がない、白人だけではなく、有色人種と抵抗なく、簡単に結婚するよ。』と語っていた。
他方、フランスはと言えば、非常に強いフランス人意識が存在し、純粋なフランス人が、有色人種と結婚することには、ある種の抵抗感があるのではないか。彼らフランス人が、外国からの移住者を受け入れる条件は、フランス語に堪能になることのようだ。つまり、彼らは文化面で妥協しないということであろう。
そして、宗教もまたもう一つの壁であろう、イスラム教はフランス人の宗教とは異なる宗教だ、という意識が強く、排除する傾向にある。それは、ユダヤ教徒に対しても、同様であろう。
フランス人はフランス語以外の外国語を、話したがらないため、たとえ彼らが英語を話せても、こちらが英語で話しかけても返事をしてくれない、という話をよく聞く。
そうした,排他的な文化的感情が、今回のようなテロを生み出す、素地になっていたのではないのか。そしてイギリスはその程度がフランスに比べ、低いということであり、イスラム・テロ発生の確率も低い、と言えるのではないか。