『EUの入植地製品ラベル添付は正しい判断か』

2015年11月12日

 

 EUはイスラエルが占領している、ヨルダン川西岸地域にある、非合法な入植地の製品に対して、EU域内で販売する条件として、入植地製とラベルを張ることを、義務付ける方針を決めた。

 この措置はパレスチナの、ヨルダ川西岸地域だけではなく、イスラエルが現在占領している、シリアの領土である、ゴラン高原の占領地にある、入植地の製品に対しても、義務付けられることになった。

 つまり、『イスラエル製』や『パレスチナ製』、というラベルに変えて、『入植地製』というラベルを張るということだ。このことにより、その製品がイスラエルによって、非合法に占領されている入植地の、製品であることが、明らかになるということだ。

 これまでも、デンマークやベルギーなどが、EUの決定に先行して行っていた。それを今回の決定は、適用範囲を拡大した、ということだ。

この決定により、イスラエル政府は5000万ドルの輸出が、不可能になる、あるいはダメージを受ける、と考えているが、イスラエルのEUに対する総輸出額は、130億ドルに達していることを考えると、それほど巨額ではないようだ。

 イスラエルの入植地から、EUに輸出されている製品とは、オリーブ・オイル、ハニー、卵、鶏肉、ワイン、野菜、果物、オーガニック・プロダクツ、化粧品といったものだ。

 このEUの決定に対して、イスラエルのネタニヤフ首相は、当然、激しく抗議している。彼に言わせえると、西サハラやキプロスを含む、世界の200を超える占領地の製品に対しては、こうした差別化のラベルが張られないのに、何故イスラエルの入植地製品だけがそうされるのか、二重基準ではないか、ということのようだ。

また、『こうした差別化のラベルは、パレスチナ・イスラエル問題の平和的解決には、全く寄与しないし、パレスチナにラジカルな考えを、広げるだけだ。』と語っている。加えて、ネタニヤフ首相は『イスラエルとEU諸国との関係に、悪い影響を及ぼすだろう。』とも語った。