トルコの国内情勢は、既にパキスタン化の段階が終わり、アフガニスタン化の段階に入っている、というショッキングなタイトルの記事が、アッサフィール紙に掲載された。この前、アンカラで起こったテロ事件が、相当のショックをトルコ国民にも、外国人にも与えたようだ。
現在、死者の数は102人に増えたが、実際の死者数は126人だ、という情報があるのだ。しかし、政府は一度に多くの死者が出たとしたのでは、政府に対する非難が激しくなることを懸念して、小出しに発表しているようだ。
死者126人という数字を口にしたのは、クルドの政党HDPの党首であるデミルタシュ氏だが、公式な発表は政府にしか出来ないために、未だに102人という数字が、トルコ国内では踊っているのだ。
トルコがパキスタンに似た状況だとしたのは、パキスタンにはアフガニスタンの各種のテロ・ジハード団体が存在し、それぞれに活動をしているが、トルコ国内にも幾つもの、シリアのテロ・ジハード組織が存在し、それらの幾つもが、トルコ政府の援助下にある。
パキスタン政府もイスラム国家を口にし、トルコの与党AKPもイスラム穏健派と称しているが、それはイスラムを偽っているに過ぎない。それどころか、トルコのイスラムは中世のそれ以外の、何物でもないということだ。
そして、過去1年半が安全と平和の中にあり、トルコ政府とPKK(クルド労働党)との関係は、相互不可侵のような合意が見られていた。それが去る6月7日の選挙の後、一気に悪化しテロが続発するようになったのだ。この状況はパキスタン化を通り過ぎ、アフガニスタン化の段階に、達したのだというのだ。
アンカラのテロのあと調査も済まない段階で、ダウトール首相はクルドの関与を口にし、激しく非難しているが、そのことは、トルコ政府がPKK(クルド労働党)だけではなく、クルド人全体を敵に回している、ということであろう。
臨時政府の組閣は、AKPのメンバーと元閣僚、そして、AKPと深い関係のあった者たちによって結成されており、そのことがテロに繋がったとも言えよう。
ダウトール首相はIS(ISIL)とPKKが、テロに関与していたと主張したが、この二つの組織が協力することはありえない、彼らは敵同士なのだ。
今回トルコ政府は10人の容疑者が、分かっているとしたが、以前、自分の息子がIS(ISIL)に参加して帰国したので、逮捕を依頼した父親がいたが、政府は取調べをした後、息子を簡単に釈放している。
トルコ共和国始まって以来の、大テロ事件だったにもかかわらず、法務相も内相も辞任しないままだ。
トルコが抱える反シリアの組織は、テロ組織なのだが、処罰されることはないし、今回のテロ事件でも、容疑の対象にはなっていない。
こうした状況下で選挙が行われるのであろうか。その選挙は正しい結果を組むのであろうか。トルコは今後ますますテロが増え、流血の事態が拡大していこう。それは既に、パキスタン化の段階を通り過ぎ、アフガニスタン化の状況に似てきているということだと、この記事を書いたジャーナリストは、そう訴えている。残念だが、現状はそのとおりだ。