アンカラで起こった、歴史的にも大規模な爆弾テロ事件以来、トルコの各政党は選挙運動を、取りやめる方針になってきている。与党AKPとクルドの政党HDPが、安全を理由に選挙活動を、取りやめる方針であることを、明らかにした。
確かに、選挙運動中にAKPに対しても、HDPに対しても、テロ攻撃が行われる可能性は否定できない。 CHPやMHPはまだこのことについて、コメントしていないが、これらの政党も同じ方針を、採るのではないかと思われる。
こうなってくると、選挙は行われるのだろうか、という次の疑問がわいてくる。選挙の投票所がテロ攻撃を受ける心配はあろうし、投票所はトルコ全土に設置されるわけであり、テロ攻撃仕掛ける側としては、楽な作戦であろうが、テロ攻撃から国民を守る側にとっては、多くの人員が必要であり、情報の収集も大変であり、テロを防ぐのはほぼ無理、ということになろう。
もし、11月1日の選挙が取りやめになった場合、どの政党が喜ぶのであろうか。多分に与党AKPが喜ぶことが考えられる。それは、AKPに対する支持が下がってきていること、それと対極にある、HDPへの支持が高まっていること、CHPに対しても同様に、支持が高まっているし、国民の選挙への関心も、高まっているからだ。
もし、11月1日に選挙を行えば、AKPは過半数に達することが出来ず、連立内閣を結成せざるを得ない。その場合には、AKPが好みの人物を、大臣職に据えることは出来なくなる。
野党との連立は、当然のこととして、新内閣が連立に参画した野党の、強い影響を受けざるを得なくなるということだ。
テロが起こったタイミングは、まさにエルドアン大統領の、望むところであったのではないのか。もちろん、現段階でアンカラのテロ事件と、トルコ政府との間に関係がある、と断言するつもりはない。
ただ思い起こしていただきたいことがある。トルコとIS(ISIL)との関係が、悪化してきている、とは言われてはいたが、完全にIS(ISIL)とトルコの情報部MITとの関係が、切れていたとは考えにくい。
そうであるとすれば、トルコの情報部MITは、今回のアンカラのテロ事件について、何らかの情報を事前に、入手していたのではないのか、ということだ。それを黙認したということも、推測できるのではないか。しかし、そうあって欲しくないものだ。