『リビア内紛にエジプトが間接関与』

2015年10月 3日

 

 リビアで続いている内戦に対し、エジプトは大きな関心を抱いてきている。カイロ在住の、カダフィ大佐の従兄弟である、カダフィ・ダムは母親がエジプト人であることから、エジプトとリビアの二重国籍を、有しているのだ。彼のエジプト国内での自由は、十分に補償されている。

 そのことはエジプト政府が、このカダフィ・ダムなる人物を使って、リビア問題に一定の影響を、与えることを、狙っているからに他ならない。彼をして行えば、リビアの各部族を集めることが出来るし、カダフィ・ダムには膨大な資金がある、とされてもいる。

 エジプトにしてみれば、自国の西に隣接するリビアは、いろいろな意味で重要だ、石油産出国であるリビアは、これまで長い間、エジプトからの大量出稼ぎ者受入国であった。およそ200万人のエジプト人が、リビアで働いてきているのだ。その労働者の後ろには、膨大な数の家族がいるのだ。

 同時に、リビアの持つ石油資源と、その資源によって得られる収入も、エジプトにとっては、手放しがたいものだ。

 これまで何度となく、リビアへの不明機よる攻撃が、伝えられているし、アラブ首長連邦による空爆も、伝えられてきたが、それらは全て、エジプトによるものだった。

 最近になって、リビアのムハンマド・アル・ダイリ外相が『エジプト軍は時折、密輸業者を追跡して、リビア領土内に入っている。』と語ったが、これは今後エジプト軍が、より本格的に地上部隊を、リビア領土内で展開することを、意図しての発言ではないか。

 リビア東部のトブルク市を本拠地とする、リビアの正統政府に対し、欧米諸国は軍事介入の口実を、作り出すために、圧力を掛けているようだ。エジプトはそれを傍観しない、ということであろう。

 西側の国による、リビアでのIS(ISIL)を使った、撹乱工作はまだ成功していない。あるいはこの先も、エジプト軍が本格的に動き出したのでは、成功の確率は低いだろう。そうなると、今後リビアの権益をめぐり、エジプトと欧米が衝突するかもしれない。