『やはりIS(ISIL)の後退は事実のようだ』

2015年10月29日

 

 シリアにおける、ロシア軍のIS(ISIL)に対する空爆は、相当正確であると同時に、激しいもののようだ。これまでには、このことに激怒するアメリカなどが、ロシアの空爆は病院や学校などを破壊し、民間人の犠牲が多く出ている、と反露のプロパガンダをしていた。

 しかし、現実はロシア軍の空爆は、実に正確であるようだ。IS(ISIL)の攻撃目標については、アメリカがロシア側にデータを提供した、という情報もある。したがって、ロシアの空爆に対するアメリカの非難は、案外、口先だけの話なのかもしれない。

 そのロシア軍の空爆で、IS(ISIL)は訓練基地や事務所、兵器庫を破壊され、多くの幹部も死亡しているが、IS(ISIL)の戦闘員はシリアに留まって、戦闘に参加することに、嫌気がさしているようだ。

 このため、IS(ISIL)の戦闘員は、陸路イラクに逃れているという情報が、イラク軍から流されているが、それは事実であろう。そればかりか、空路イエメンのアデンにも、多数が逃れている、という情報が伝わってきた。

 シリアからイエメンへ逃れるIS(ISIL)の戦闘員は、トルコの提供する航空機2機と、アラブ首長国連邦が提供した1機で、移動したということだ。これ以外にカタールも、移動のための航空機を提供している、と伝えられている。

 イエメンでは、IS(ISIL)の戦闘員たちは反政府のホウシ派との、戦闘に参加することになっている。ホウシ派は述べるまでもなく、イランが支援するシーア派のイエメン国民であり、スンニー派のIS(ISIL)が敵対するのは、理にかなっていよう。

 イエメンでは戦闘訓練指導に従事したり、戦闘に参加するわけだが、これまでに合計で、1500人から2000人のIS(ISIL)戦闘員が、アデンに到着したといわれている。これらの戦闘員は外国から参加者と、シリアから移動した者たちだ。

 IS(ISIL)の戦闘員たちは3つのグループに分けられ、サウジアラビアのジザーンやアシールに向かう者と、イエメン国内で戦闘に参加する者たちに分けられる。

この情報で分かったことは、シリアでのロシア軍の攻撃が、正確を極めていること、その結果、IS(ISIL)が相当追い込まれていること、IS(ISIL)を支えているのはトルコ、アラブ首長国連邦、カタール、そしてサウジアラビア政府、ということだ。

 この後の展開がどうなって行くのか、注目する必要があろう。イエメンはサウジアラビアに隣接する国であり、IS(ISIL)の戦闘員の多くはサウジアラビアの出身であり、彼らはサウジアラビアに敵意を抱いてもいるということだ。